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Photo by
neoposi713
SS 43 「小さくも大きくもない箱」
宅配便が一つ届いた。差出人は覚えの無い人。かなり怪しいが、入っていたのは小さくも大きくも無い箱。「魔法の箱」「ピッタリはまるものを入れる」と書いてある。
まあ一回だまされてみるか、と捨てるつもりの古い炊飯器を入れてみる。大きさはうまい具合にピタリとはまった。何も起きない。期待はしていなかったが、ちょっとがっかりしながら炊飯器を出す。すると、箱の中に炊飯器がもう一つ現れた。出して見ると新品だ。使ってみたら、ちゃんとご飯が炊けた。
あとで変な請求が来ることもなく、このとんでもない箱は本当に私が貰えたらしい。こうなると使わないと損。家の中にあって、箱の大きさに合うものは全部再生。新しく買うものは、この箱にはまることが基準になる。
ある日、気づいた。
部屋の中は同じ大きさの四角いものばかり。
眺めて思う。「一種類しか無い世界はなんてつまらない景色なんだ」