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Photo by
nakameguromt
SS 72 「割引クーポン要りません」
近所のスーパーで買い物。会員カードのバーコードを読み取らせて精算すると、クーポンが印刷されて出て来る。このところ、缶ビールの新製品50円引きのクーポンが続けて出て来る。K社が大々的に広告しているものだ。このスーパーでビールを買わないのに。私はビールをメーカー直送の出来立てばかり飲んでいる。酒屋さんには申し訳ないが、これがたまらなく旨いのだ。
そんな私に缶ビールのクーポンを出して来るのはなぜなのか。考えてみると、柿の種とかチーズなどビールのツマミになるものはよく買っている。そういうところからビール好きを読み取っているのだろうか。あるいは、様々な買い物の傾向から、ビール好きに共通する特徴があるのかもしれない。会員登録しているから、購買履歴が個人に紐づいている。そこからコンピュータが分析して来る。ちょっと前に流行ったビッグデータ解析というやつだ。今はもう当たり前になっている。
私の購買履歴はビールそのものを買わないものの、ビール好きの特徴が出ているのだろう。なるほどなあ。しかし、これはさすがにわからないだろう。
私はA社の社員。K社の宿命のライバルと言われるビール会社だ。そして自社製品をこよなく愛している。K社の製品を買うことは無い。そして、K社が新製品に割引クーポンを連発している状況をしめしめと内心ほくそ笑んでいるのだ。