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書評 178 「宇宙ベンチャーの時代」

技術に関する記載もあるが、それは補助的。主題はビジネスとしての宇宙。ロケット製造、打ち上げ、人工衛星から宇宙旅行、月面開発まで様々な宇宙ビジネスが網羅されている。

その多くが既に実用段階にあり、残りも具現化の道筋に入っている。宇宙ビジネスなんてまだまだ黎明期と思っていた自分は明らかに遅れていると猛省させられた。

ビジネス個々の市場規模から主なプレーヤーたる企業や実業家の名前も挙げられており、その著名振り自体が事業促進の重要なマーケティングツールとして作られたもの。そんな話も面白い。また、ファイナンスのところは知っている人には常識の話ではあるが、それが宇宙ビジネスでも共通に機能していることに感心させられる。

国家主導で始まったものがわずか数十年の間に民間の事業となってきた歴史も簡潔に描かれているが、執筆中にも次々と状況が変わるので幾度も書き直したとのエピソード。そこにスピード感を感じる一冊。


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