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土居廓中の歴史的町並み #1

 今回紹介する歴史的町並みは、土居廓中(どいかちゅう)です。土居廓中は高知県安芸市にある武家町です。「土居」とは防衛目的に築かれた土塁を表す言葉で、五藤家が屋敷を構えた現在の安芸城跡にあたります。

 安芸城(土居)は、戦国時代に安芸氏が拠点とした後、長宗我部氏、山内氏へと支配が移り変わり、山内氏の重臣である五藤家を配し、土佐藩の拠点の一つとなりました。廃藩後の明治期以降、安芸城跡とその東西南面に凹状に広がる武家屋敷群を併せた範囲が土居廓中と呼ばれるようになりました。現在は重要伝統的建造物群保存地区に選定(2012年)されています。

 noteで日本の歴史的町並みを紹介している記事は沢山あるのですが、様々検索してみたところ、土居廓中を詳しく紹介する記事がほとんどないことがわかりました(2024年1月13日現在)。この記事がnoteを通してみなさんが土居廓中を知るきっかけにればと思います。


安芸駅

 土居廓中を訪れたのは2014年の9月。高知駅からJR土讃線・土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線に乗って安芸駅に行きます。安芸駅からは北に2kmほど。駅前の無料レンタサイクルで自転車を借りることができました。町並みまで自転車で約15分。滞在時間は3時間ほどで、比較的余裕を持って見学することができました。

 県道211号を自転車で北上しながら少しずつ進んでいくと、道の両側に板塀の大規模な農家が現れてきます。立派な長屋門を構えています。

水切り瓦

 また、白壁に漆喰で固めた瓦の短い庇が重ねるように取り付けられた土蔵や民家が増えてくることに気づきます。

 この庇は雨から壁を守る「水切り瓦」と呼ばれ、雨風の強い土佐の風土に合わせて発達したもので、土居廓中内外に見られます。古い建物だけでなく比較的新しい建物にも用いられているところが地域の風土を良い形でを伝えていて、とても素敵なことだなと感じます。

野良時計

 しばらくすると「野良時計」が見えてきます。ここは土居廓中の外ですが、1887(明治20)年頃に、野良仕事をする村人に時刻を知らせるために地主の畠中源馬により建造された櫓時計で、地域文化が生んだ安芸のシンボルといえます。

 土蔵作りの建物の上に明治の西洋文化の香りが感じられる時計台。風格の中に可愛らしさを感じる本当に素敵な建物です。この時計は今も動かすことができるとのこと。個人の住居のため一般公開はしていませんが、外観を見学できます。


 9月だったこともあり田畑の畔に曼珠沙華(彼岸花)が咲いていて、秋らしく清々しい風景でした。

 土居廓中の武家町はここからさらに150mほど進んでいきますが、この記事はここまで。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

安芸市土居廓中(高知県の武家町・重要伝統的建造物群保存地区)

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