土居廓中の歴史的町並み #2
野良時計から、さらに150mほど進み、土居小学校を経て、いよいよ土居廓中の武家屋敷群が見えてきます。土居小学校の塀は、歴史的風致に合わせて海鼠壁が取り入れられていて風格がありました。
土居廓中の武家屋敷
この辺りが歴史的町並みの入り口。町並みの雰囲気が急に変化し、武家町っぽさが広がります。
野村家住宅
現在土居廓中には武家屋敷がいくつか残っていますが、唯一一般公開されているのが野村家住宅です。現存している建物の中で最も古く、天保年間(1830年頃)の建築と推定され、国の登録有形文化財に指定されています。
塀内にある門「塀重門」や「武者隠しの壁」など武家屋敷らしい備えがあります。
また、母屋の外壁は下部を板塀、上部は漆喰真壁で作られ、妻面は「シトミ」と呼ばれる竪板張りで覆われているところが印象的です。やはり風雨を防ぐことが重視された作りであり、この地区の武家屋敷に共通する特徴となっています。このあたりは台風も多く、屋根瓦も風向きに合わせて葺き方を変える工夫がなされていたことがわかっています。
生垣と練り塀
土居廓中の町並み景観を特徴づけているのが、道路に面して見られる生垣と練り塀です。生垣は特に土居廓中内に見られる武家町ならではの垣根であり、ドヨウタケ、ウバメガシ、ナギなどでつくられています。
また、練り塀とは、河原石や古瓦を赤土で固めた頑丈な塀であり、風雨に強い壁として、武家屋敷に限らず、この地域の民家にも共通して見られます。
四ツ辻
町の西側(西町)に東西、南北の通りが交差する四ツ辻は、往時の石溝を残す四方に伸びた狭い通りに沿って生垣が連続した景観を残しており、町並みの核心とも言えます。
安芸城跡
四ツ辻を東に進んでいくと、蓮に覆われた堀と大手口の石垣が見えてきます。安芸城跡です。
中の方までは見学しませんでしたが、明治期の建造である五藤家安芸屋敷(登録有形文化財)が現存する他、安芸市立歴史民俗資料館と書道美術館があります。打ち込みハギの石垣は本当に立派でした。
土居廓中から更に北西に1キロほど進むと、坂本龍馬と親交のあった土佐のもう一人のヒーローである岩崎弥太郎の生家が残されています。今回はそこまで足を伸ばせませんでしたが、安芸は歴史の魅力が溢れた場所であることを改めて実感しました。
さて、この旅の後日談。
私は子のPTA活動で知り合いになったある方に、土居廓中を巡ってきたことを話すことがありました。その方は不思議とうんうんと頷きながらちょっと嬉しそうに話を聞いてくれるのでした。
そして私が話し終わると、「実は私、郷に引っ越すことになったんです。その土居廓中に(笑)。」というのです。もう本当にびっくりでした。
この記事はここまで。最後までお読みくださり、ありがとうございました。
安芸市土居廓中(高知県の武家町・重要伝統的建造物群保存地区)
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