Vol.6 妖怪輪入道
【!】今回はホラー要素強めです。
小学校の頃。
それも多分怖い時間として記憶してるから
夜中の2時半とかだったと思う。
その日は台風で、
家族みんなが離れで寝静まっていた。
雨戸は全て閉まっていたけど
トイレの窓が少し開いていた。
私はトイレに起きる前から、
何か家を持っていこうとしているような
すさまじい風を感じていた。
トイレに入った時、開いている窓からこちらを覗き込む複数の「何か」を見た。
それで気が付いた。
こいつ達がいたから家の周りの風が台風とは少し違ったのかと。
「何か」の正体は、
燃えたぎる炎に包まれた、大きな車輪の真ん中に男の顔がある妖怪だった。しかも2体いた。
その車輪には均等に黒の漆塗りの盆のようなものがついており、はっきり覚えていないけれど「南無阿弥陀仏」みたいな漢字が書かれていた。
(それが妖怪輪入道だったと気が付いたのは
少し大きくなってから読んだ妖怪の本に、
あの時に見たものとまったく同じ姿のものが載っていたから。)
輪入道たちは私の存在には気が付いておらず
執拗に家の中の誰かを探しているような感じだった。
唯一トイレの窓が開いていたからそこから覗き込んでいたようだった。
輪入道たちは家のまわりを何度か周回した後、
何か言葉を発して姿を消した。
私は恐ろしくなり、
泣きながら両親を起こした。
父が起きて外を確認してくれたけど、その時はすっかり何もいなくなっていた。
大人になった今では、
"台風の日はそういうものも風に乗ってやってくるのだろうか"となんとなく不思議に思う。