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人工知能・機械学習を活用した新しい教育を提供する 株式会社キカガク 代表取締役社長 吉崎亮介さん

「人と人が教えあえるやさしい世界をつくろう。」人工知能・機械学習を活用した新しい教育を提供する株式会社 キカガク代表取締役社長の吉崎亮介さんのお話をお伺いしました。

プロフィール
出身地:兵庫県姫路市
活動地域:東京、福岡
経歴:1991年生まれ、26歳。
舞鶴高専にて画像処理およびロボットの研究、京都大学大学院にて製造業向けの機械学習を用いた製造工程最適化の研究に従事。卒業後、株式会社SHIFTでソフトウェアテストの研究開発を経て、株式会社Caratを共同創業。2017年1月より株式会社キカガクとして独立。ビジネスの現場で使える人工知能(AI)を目指し、企業向けの教育やコンサルティングを行う。2017年6月に日本マイクロソフト・Preferred Networks両社公認のデータサイエンス人材養成トレーナーに抜擢され、現在は東京大学やG'sアカデミーなどでも講師として教鞭を執る。キカガクの講義は設立1年半で受講生は7000名を超える。講師として教えるだけでなく、人と人とが教え合うことで学びが生まれるteach4meに現在は力を入れている。

「AIの民主化に向けて、AIの領域にないことをしていく教育が大事だと思っています。」


記者 本日はお時間をとっていただきありがとうございます。早速ですが、AIが活躍する時代に必要なニーズについてお聞かせください。

吉崎 そうですね。これからはAIの民主化が起きると思っています。AIの民主化が起きると最終的にどうなるかというと、AIに仕事を奪われる人があらわれるということです。つまり、一言でいうとAIを使える人材が必要ですね。

ですが、もともと人間の仕事を奪うためにAIがつくられたという訳ではないんですよね。むしろそんな仕事くらいやってくれよっていうためにつくられてる訳じゃないですか。なので、これからは人間がどこで活躍できるかを考えて切り分ける必要があると思っています。
また、いかに時代の流れに適応できるかということも大事だと思います。新しいものが出てくるのであれば、新しいものに適用したツールを使うことです。適応力を身につけて、どんなツールを選択すれば生活を豊かにしていけるかなどの発想の転換ができることが必要だと思います。

「非構造化の構造化がこれからの人間がやること」


記者 なるほど。
吉崎 AIって魔法みたいに思われがちなのですが、実際にはデータを整理しないと使えないってことも多々あります。逆に人間が得意な領域っていうのは、非構造化されたデータを構造化させることなんです。

記者 非構造化の構造化ですか。
吉崎 はい。人間は、何かモヤっとしたことをまとめるのがうまいんですよ。
例えば、AIは議事録をとることは苦手だったりします。議事録をとれるようにするためには、人間が得意な”非構造化されたデータを構造化させる”ことを訓練をして、ツールやアルゴリズムをつかいこなすためのインプットが必要だと考えています。
人間の話に戻しますね。つまり、非構造化の構造化をハード面ととらえた時に、ソフト面でいくと人間的な側面や人間力の向上が必要だと思うので、そちらにも重点を置いています。

記者 AI時代に必要なニーズは、ハード面は非構造化の構造化。ソフト面では、人間力ですか。興味深いですね。なぜそう思うようになったのですか?

吉崎 僕自身の話になるのですが、死が近くにあったんです。
両親の離婚直後に、父が亡くなり、その一年後くらいに一緒に寮生活をしていた親友が亡くなった。その時にすごく考えました。
いつ死ぬのかわからないこのご時世で、生き急ぐ訳ではないけれども、何を成し遂げることができるのだろうか、と。ありがたいことに、それに気づくことができたんです。その時から、気づいた人はちゃんと動くべきだし、言葉にして伝えていく必要もあると考えています。言語化しないと人って気づけないところもあると思うんですね。うちの社員にもそういうことはきちんと伝えています。
だから、人間力です。

記者 そうだったんですね。
吉崎 はい。ですから、これからはAIを活用しながらも、AIの領域にはない人間的な側面を育てていく教育が大事だと思っています。

「成功の秘密は3つのポイント」

記者 ありがとうございます。更にお聞きしたいのですが、どんな心の在り方や認識の変化が今の活躍に繋がっているのでしょうか。

吉崎 今でてくるものとして、3つのポイントがありますね。
1つ目は、周りのレベルの平均が自分のレベルだということ。自分の周りの5人の平均の学力が自分の学力といわれるように、京都大学の研究室に入った時に、周りにいる人が変わると自分も変わるということを経験しました。その環境ではできるようになる努力をするという考えが当たり前なので、自ずと学力がぐんとあがっていきました。
最優秀論文賞を得て研究室の中では伝説のひとつと言われています。

2つ目は、自分の持っているものの中で、何をするのかということ。
コンプレックスとかではなくて、もう自分が持っているものを持っていることとしてしっかり認めています。つまりないものねだりで生きないっていうことですね。
ないものねだりで生きると、常に人生ハラハラしたりストレスがたまるだけなので。逆に、あるものは何かを認識する事ができれば見え方も変わってくると思います。みなさん、意外と自分にあるものを知らないんですよね。
いいものをたくさん持っている人でも、大体ないものばかりをみていますね。もちろんないものを習得するのができるものであれば、習得することは賛成ですよ。例えば、AIのことがわからないからAIについて学習するとか。
けれども、どうしても超えられない壁というものに対しては仕方ないものとして割り切ることも時には必要だと考えています。逆に”あるものは何なんだろう”っていう心のあり方をすると、落ち着きます。
心が落ち着かないと、どこかのタイミングで気が落ちてしまうんじゃないかな。活躍する方の共通条件として、ちゃんと心を落ち着ける時間をとっていると思います。
僕自身も、こうしてメディアで取り上げていただくようになり、売上管理だったり、メンバーが増えたりなど常に変化して行く中で落ち着かない日々っていうのはたくさんあるんです。
その中でも、”今、自分にあるものは何か”って考えることで落ち着くことができます。

3つ目は、です。
これも活躍されている方に共通しているのですが、運のない経営者はいません。
経営者の方に質問すると100発100中絶対に運がいいと回答されるのではないかと思います。それはなぜかというと、“運がいいと思えるかどうか”すなわち”ポジティブシンキング”ができるかどうかということです。運が悪いと思うのかいいと思うのか、よいところ・あるものを認識できるのかできないのか。
言い方を変えれば2つめと同じですが、”ないものねだり”か”あるものか”をちゃんとわかっているということかなって思っています。

「生きているモチベーションが見つけられる時代」

記者 ありがとうございます。では次に、どんな美しい時代を創っていきたいか教えてください。

吉崎 人が人として輝けるような時代ですね。だからこそ、人間があまりやりたくない仕事をAIがやってくれるのは大賛成ですね!自分が生まれてから死ぬまでに、これを成し遂げたかった!っていうことに、みんなが挑戦できる時代が美しい時代だと思います。

記者 素敵ですね!

吉崎 生命ってそもそもなんであるんだ論ってあるとおもうんですけど、生きているモチベーションが見つけられる時代っていいなって思います。お金稼いでボーっと生きて死んで葬式であんま人こなくてっていう…。それだったらなんのために生まれてきたんだったっけってなりそうです。その間に地球温暖化も進んでいるので二酸化炭素だけは排出して、そんな生き方は人間として一番悲しいなって思うんですよね。

記者 そうですね。生きているモチベーションが見つけられないことって多いと思います。では、モチベーションに悩む人に対して、どんな取り組みをしていますか?

吉崎 モチベーションをつくれない・維持できない・波があるなどの悩みって多いですよね。実際に僕も勉強が続かないタイプなのでよくわかります。解決策として教え合いを取りいれました。
受講生全員が教えてもらった内容を次の人に教える”知識のバトンを渡す”ということをしています。次の人に教えることがモチベーションになると、教えることがおもしろくなって気づいたら自らの学ぶ意欲も増していきます。
最初からみんなプロフェッショナルになれるわけではないので、小さな成功体験・小さなモチベーションのつくり方さえできてしまえば成功だと思っています。

記者 つまり、一人でモチベーションを維持するのは限界ということでしょうか?
吉崎 はい、正直無理だと思います。
できる人はこんな議論なしでできているんじゃないですかね。でも、できない人が大半なので、こんな議論があると思うんです。昔の僕のように、かっこつけたい・いい大学に入りたい・お金を稼ぎたいなど、周りからの評価をもらうことに対してのモチベーションで行動していました。しかし、新事業を立ち上げて、お金も稼げるようになってくると、何をモチベーションに持つのか難しくもなってくるということに気づきました。
”今、自分が何したい”ということが実はすごく重要。”自分て何したいんだっけ”って考えた時に、社会に対して貢献したい・成し遂げる人を増やしたいって気づき、それが今のモチベーションになっています。
思い返せば、自発的なモチベーションだけで行動できる人には会ったことないですね。社会に対して貢献したいとか死ぬまでにやることなど大義名分を掲げないとやっていけないのが大人の教育であり実務なのではないかと思います。

「スキルや能力よりも、リスクへの鈍感力でチャンスをつかむ」

記者 確かにそうかもしれませんね。では、これから大人になっていこうとしている平成世代の10代20代の若者に伝えたいメッセージはありますか?

吉崎 僕が思うところとしては、みんなに言っていいものかいつも迷うところではあるのですが…、「考える前にまずやったらいいんじゃないの」って思います。
賢くなりすぎちゃうと、みんなリスクを見積もれるようになっちゃってどんどん動けなくなっちゃうのをたくさんみてきました。若い人ってリスクが少ない人が多いんですけど、そこに気づいている人って意外と少なかったりします。まだ結婚してない、お子さんがいないっていうことは実は動けるチャンスを秘めています。
僕は結婚しているので、結婚生活の楽しさを知った反面、やっぱり一人の時よりは時間の使い方も変わったなって思います。もし子どもがうまれるとなると、更にもうちょっと変わるんだろうなって思います。なので、今の若い人たちに必要なのって、実は能力じゃなくてリスクが見積もれないっていう鈍感力なんじゃないかなって。

記者 リスクを見積もれない鈍感力が強みですか。それはすごい発想ですね。

吉崎 実際に、起業家に話を聞きにいくと、みんな親切なつもりで壁打ち役になってくれてダメなところを言ってくれたりするんですが有難迷惑です(笑)なので、僕のところに来る起業家に対しては基本的にはほめます。なぜなら、“やったらわかるけれど、やらないとわからない”からです。60点でいいから、やったらいいじゃないかと思うんです。
0点はだめだけど、60点でも実行できればいいですよね。あとは60点から、70点80点にする軌道修正をすればいいだけなので。そもそも行動できなければ60点すらとれない。それこそが0点じゃないのって思っています。なので、まず実行できれば成功!です。
僕の場合、反対意見とかあると気になっちゃいます。そうしないために、実行していない人の意見は、そもそも意味がないと思うようにしているんです。実行できていない人に対してちゃんとできていないっていう評価ができれば、本当に実行できている人のことだけに耳を傾けることができますね。

記者 何を選んで、何を捨てるのか、すごくはっきりされてますね。

吉崎 そうですね。それをしないと心が保てないですよ。「考えすぎずにまずやってみたらいいんじゃないの」それが、僕からの若い人たちへ向けてのメッセージです。

記者 ありがとうございます。では最後に、読者のみなさんへメッセージをお願いいたします。

吉崎 「自分が生まれてから死ぬまでに、これを成し遂げたかった!」っていうことをぜひ見つけてください。ありがとうございました。


吉崎亮介さんの詳細情報についてはこちら!↓
Facebook : https://www.facebook.com/profile.php?id=100002088968358
HP : https://www.kikagaku.co.jp  


【編集後記】
今回インタビューの記者を担当した那倉です。
AI時代において、AIとの向き合い方に注目がいきがちですが、そもそもそれを活用する人間へ着目し、なかでもモチベーションに対する教育へ問題意識と解決策を提示している吉崎さんは、とても知的でありながらとても気さくで、いくらでも話を聞いていたくなるような方でした。死への不安や恐怖はどんな人にでもあると思います。“あるもの”つまり自分にできることとは何かをわかって、モチベーションをつくり・維持し、互いに高め合える仲間や協力体制、強いては教育体制を創ることが必要なんだろうなと思いました。
同世代で頑張っている吉崎さんをみると、自分も頑張ろうと思えました。ありがとうございました。


この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36

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