ねこてんしになったノア空の世界の冒険 第1章
昔、地上で暮らしていた人や動物は、地上とお別れしたあと、「てんし」となって「空の世界」で、平和に暮らしていました。
そこへ
てんしとなったくろねこが、頭の「金色の輪」に案内されて、空の世界へやって来ました。
「ここはどこだろう?」
今までいた地上と違う場所にドキドキが隠せません。
足元の白いフワフワした綿のようなものは何だろう?
足元を見たとき、自分のからだが地上にいた頃の姿と違う事に気がつきました。
「いったいどうなってるの?」
ノアが困惑していると・・
「どうしたの?」
後ろから声が聞こえました。
振り返ると
そこにはくろねこと同じように、頭に金色の輪と背中に羽根がある、うさぎやいぬ、おばあさん、そして自分と同じような姿のたれみみのねこがやって来ました。
「きみ、名前は?」
うさぎさんが尋ねると
「ぼくはノア。くろねこ。」と答えました。
「あの、ここはどこ?地上とは違うみたいだけど・・」
ノアが尋ねるとうさぎさんが
「もしかして、今ここへ来たの?」
と聞かれたのでノアはうなずきました。
すると、うさぎさんは教えてくれました。
「ここは『空の世界』。
地上で暮らし終わると、『てんし』になってここへやってくるんだ。
頭にある『てんしのわ』と背中の『羽根』がてんしになったあかしだよ。」
今度は、いぬさんてんしが
「今、僕たちがのっているのは『雲』の上だよ。
ほら、下には地上が見えるでしょう?」
そう言って、雲の下を指しました。
下を見たノアは
今まで住んでいた地上が小さく見えて、少し寂しくなりました。
(・・そうだ、僕が住んでいた青い屋根の家はどこだろう?)
流れる雲の上から探しますが見つかりません。
どうやら過ぎさってしまったようです。
「本当にお別れしちゃったんだ・・・。」
ポツリと言うと、涙がポロポロこぼれて来ました。
おばあさんてんしがやって来て、ノアの背中をさすりながら優しく話しました。
「寂しいわね、今は思いっきり泣いていいのよ。」
ノアはおばあさんてんしの温かい手に支えられながら泣きました。
ノアが落ち着くと、たれみみのねこさんてんしが、話しかけました。
「あのね、ここでは先に地上でお別れした家族や友達と再会出来るんだよ。誰か会いたい知り合いはいる?」
ノアは妹でしろねこの「モモ」の姿が目に浮かびました。
同じ家に暮らしていたむじゃきでイタズラ好きなこねこのモモ。
しかし、事故にあってしまい・・
ノアよりも先に地上とお別れをしていました。
ノアはみんなに聞きました。
「僕の妹がここに来てると思うんだ、しろいこねこで名前はモモ。見たことないかな?」
「しろいこねこのてんしのモモちゃん?」
「僕たちは見たことがないけど、町に知ってるてんしがいるかも!聞いて見るよ。」
そう言うと、うさぎさんてんしといぬさんてんしが飛んで行きました。
ふたりの後ろ姿を見送ると、おばあさんてんしが
「ノアちゃん、私達同じ町に住んでいるの、良かったら私の家であの子達を待たない?」
と誘ってくれました。
ノアはうなずき、おばあさんてんし、たれみみねこさんてんし達が暮らす「雲の町」へ行く事にしました。
「ねこてんしになったノア空の世界の冒険 第2章」へ続きます。
↓ねこてんしになったノア空の世界の冒険 第2章
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↓ねこてんしになったノア空の世界の冒険 第4章
↓ねこてんしになったノア空の世界の冒険 第5章
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