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古書のこしょこしょ話⑨ 〜旅は急がず焦らず〜
先月末から今月1日にかけては台風10号が九州から関東を縦断し猛威を振るっていた。そんな悪天候の中、僕は深夜バスと18切符を用いた5泊7日の旅に出た。旅も幸先は悪かった。横浜発名古屋着の深夜バスは大雨の影響で東京・八重洲発に変更。さらに名古屋から在来線に乗り換えると山陰本線は運休の始末。しかし、旅の道すがらに待ち受けていたのは季節を感じさせる日本らしい風景の数々だった▶︎真っ暗なトンネルを抜けてひらけた視界に煌めく瀬戸内海。青々とした山々。田んぼに立てられたカカシ。畑に吊るされたCD。もし今後、身動きがとれなくなったら田舎に逃げてのんびりと畑仕事でもしながら暮らすか、と思ったりもした▶︎遡ること1週間前、僕は歴史学者の大石先生の講演を受けていた。江戸時代における旅は、目的地でお金を落とすのはもちろんのこと、目的地に行くまでの過程でもお金を落とすものだったそうだ。その点では、乗り換えの度にお土産を買った今年の夏は江戸時代らしい旅ができたのか▶︎最後に、今回の旅で印象的だった一幕がある。それは日南線で宮崎県を移動していた時だ。ちょうど通学する高校生も同乗していた。皆が一様にSNSかAmazonを見ているのが目に入った。そして腕を見ると皆が一様に除毛していた。なのに僕ときたら…いや、ここでも海外資本の力と流行のスピードにおいて現代は日本国内どこでもほとんど差がないことを実感させられたのだった。
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