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自転車用品に使う各種バッテリー・電池の処分方法

自転車のライト等に使われているバッテリー・電池の類が寿命を迎えてしまった場合などに、それをどう処分すればいいのか。一般社団法人電池工業会(BAJ)のページ群を参照すれば必要な情報は概ね手に入りますが、その内容を自転車の文脈に寄せてまとめてみました。日本国内の大抵の地域で共通だと思います。充電式機器のバッテリーについては謎が残りました。

乾電池・リチウム一次電池: 自治体のゴミ回収へ

まずは普通の乾電池と「リチウム一次電池」から。「一次電池」というのは充電できない=放電しかできない電池のことです(充電できる電池が「二次電池」)。なのでリチウムではない普通の乾電池も一次電池です。

自転車関係で最も一般的な一次電池というと、単三(AA)や単四(AAA)のアルカリ乾電池でしょうか(テレビのリモコンなどに適したマンガン乾電池もあります)。お馴染みの筒型のあれです。前照灯や尾灯などの電源になっていることが多いですね。

自転車に関係のある「リチウム一次電池」の代表例は、小型の自転車ライトなどの電源に用いられるコイン型の電池です。もっと小さい「ボタン電池」は処分方法が違いますので要注意!

乾電池・リチウム一次電池
廃棄方法
●それぞれの電池の端子部分にテープを貼り絶縁して捨ててください。
●市町村によってごみの捨て方が異なりますので、その指示に従ってください。

これが電池工業会のページに記載されている廃棄方法です。「筒型・コイン型の一次電池は、絶縁処理をして自治体の回収に出す」と覚えておけばよいでしょう。繰り返しますが、もっと小さいボタン電池は扱いが別です。

ボタン電池: 無水銀とは限らないので協力店の回収缶へ

ボタン電池も「一次電池」の一種ですが、前述の通りコイン電池とは廃棄方法が違います。自治体のゴミ回収に出すべきではありません。

ボタン電池というのは、一部の小型ライト等に使われている小さいやつ。2019年現在でも水銀を含む品があるらしく、厄介です。電池工業会によるボタン電池回収特設サイトの説明を引用します。

ボタン電池回収の背景と目的
 世界的に環境保全への意識が高まる中、国連環境計画(UNEP)による水俣条約(2013年)、及び国内における「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」(2015年)の制定などを通じて、水銀から人の健康と環境を守る取り組みが行なわれています。
 電池業界では、これまで乾電池の水銀ゼロ化(1992年)、水銀電池の生産・販売中止(1995年)等によって環境負荷の軽減に努めて来ました。ボタン電池に関しては性能面・品質面の理由から今なおごく微量の水銀が使用されているものがあり、現時点では完全な無水銀化は実現していません。
 このため一般社団法人電池工業会(BAJ)では、使用済みとなったボタン電池の回収とその適正処理(自主取り組み)を行なっています。

同工業会のページにある処分方法は次の通り。

ボタン電池(アルカリボタン電池・酸化銀電池・空気亜鉛電池)の廃棄の際は、電極にテープを貼って、「ボタン電池回収缶」に入れてください。

「ボタン電池回収缶」の設置場所は専用の検索ページから探せます。つまるところ「ボタン電池は、絶縁処理をした上で協力店の回収缶に入れる必要がある」ということ。めんどくさいと思った人はボタン電池を使う自転車用品を避けた方がよいでしょう(自分もなるべくそうしています)。

単三・単四型の充電池: JBRCリサイクル協力拠点へ

エネループやパナループといった単三・単四型の充電池を自転車のライト等に使ってきた方も多いのではないでしょうか。電池工業会の分類では、これらは「小型充電式電池」の一部となります。同会の該当ページに記載されている処分方法は次の通り。

端子部をビニールテープ等で絶縁してください!
電器店またはスーパーなどの“リサイクル協力店”で小型充電式電池をご購入の際に使用済み小型充電式電池をお持ち下さい。
リサイクル協力店は一般社団法人JBRCのホームページからご確認頂けます。

JBRCは小型充電池リサイクルを代行している法人です。前掲のページからリサイクル協力拠点を検索できます。というわけで、「エネループやパナループなどの充電できる単三・単四電池は、絶縁処理をしてJBRCリサイクル協力拠点で引き取ってもらう」のが正解。JBRCによる回収の対象は実は会員企業の品のみですが、国内大手メーカーはどこも会員になっているようです。

充電式機器: とりあえずJBRCリサイクル協力拠点へ

最近の自転車用品、特にライトは充電式が主流になりつつありますね。エネルギー密度を考えると合理的なのでしょう。電池を出し入れする必要がなくなれば構造を密閉式にして防水性を高めることもできます。防水性は劣るかも知れませんが、バッテリーをユーザーが交換できる機器もあります。

充電式ライト等も出回り始めてしばらく経ち、バッテリーが寿命を迎えてしまったものも出てきているはず(うちの前照灯のいくつかがそうです)。電池工業会の分類ではこれらのバッテリーも「小型充電式電池」の一部ですので、一般ユーザーにとっての処分方法は充電式の単三・単四電池と同じです。すなわち「充電式バッテリー内蔵の自転車ライト等は、JBRCリサイクル協力拠点で引き取ってもらう」。説明書等で公式にバッテリーが脱着できることが示されていないなら、丸ごと持ち込めばよいと思われます。例えばキャットアイのGVOLT70の説明書には次のようにあります。

リチウムイオン充電池はリサイクル可能な資源です。充電池は取出さずにそのまま回収ボックスが備え付けられている公共施設や小売店に出すなど、地域で定められた方法で処理してください。

ただ充電式の機器は単三・単四の充電池と違い、メーカーや輸入代理店がJBRC会員ではない可能性があるんですよね。その場合はどうなるんでしょう?

JBRC非会員企業の充電式機器はどうなる?

JBRCはリサイクル協力拠点を窓口として回収業務を行っているわけですが、対象となる小型充電池は会員企業が製造・輸入している品だけです。このことは一般向けのページには書かれていません。しかし回収拠点となっている事業者に向けたものと思われるページにはこうあります。

JBRCでは、産業廃棄物広域認定に基づき、会員企業の小型充電式電池のリサイクルを推進しておりますので、会員以外の小型充電式電池が混入しないように分別をお願い致します。
*会員以外の小型充電式電池は、会員以外の企業に直接お問い合わせ頂くか、適切処理が可能な処理業者などにお引渡し下さい。
*会員企業については、JBRCのホームページにてご確認下さい。

ややこしい香りがするのでJBRCに電話で問い合わせてみたところ、丁寧かつ明瞭に説明して下さいました。
・まず、「資源有効利用促進法」が充電池やそれを内蔵した機器のメーカーおよび輸入事業者に回収義務を課している(罰則規定あり)。
・けれども「廃棄物処理法」が絡むので、個々の企業が自前で回収業務を行うのは現実的に無理。
・この回収業務を代行する法人がJBRC。
・委託関係にない非会員企業の品の回収代行はできないことになっている。
つまり充電池を用いた自転車用品は、メーカー・輸入代理店がJBRC会員でなければJBRCの回収には(原則として)出せないわけです。モバイルバッテリーの処分に困ったという方のツイートを参考に貼っておきます。

じゃあJBRC会員の自転車用品関連企業ってどこなの、ってなりますよね。JBRCの広報ページにある「小型充電式電池リサイクルのご案内」PDFから2019年5月7日現在の会員一覧を転載します(画像PDFなので検索が効かず、HTML版の会員企業リストも15件ごとの表示で使いにくいです➝電話で伝えておきました)。

自転車関係をピックアップすると次のような感じです。見落としもあるかもですが、少ないですよね。海外メーカーの代理店はもっと色々あるのに。
株式会社あさひ
株式会社キャットアイ
グローブライド株式会社
サイモト自転車株式会社
ジェントス株式会社
株式会社シマノ
パナソニック株式会社
パナソニックサイクルテック株式会社
ブリヂストンサイクル株式会社
ボッシュ株式会社
株式会社丸石サイクル
株式会社ミヤタサイクル
ヤマハ発動機株式会社
株式会社良品計画

自分が処分しようとしているSpecialized Stixを扱うスペシャライズド・ジャパンとOwleyeハイラックス30(の充電池)の輸入代理店であるライトウェイプロダクツジャパンはいずれもJBRC非会員だということが分かりました。では、これらの製品をJBRCリサイクル協力拠点に持ち込んだらどうなるのでしょうか。JBRCの方の話によると、窓口の人の判断次第だそうです。会員一覧を参照した上でメーカーやJBRCに問い合わせるかも知れないし、そこまでやってられないと考えて会員企業の製品と一緒に処理に回すかも知れない。後者が選択された場合、SJ社とR社は非会員でありながらJBRCのサービスにフリーライドしたことになります(委託関係にないので法的にもアレ)。ユーザーに対してJBRCは事前調査を求めていないので、持ち込んだ自分が悪いわけではない。でも突き返される可能性はあります(窓口の人は主に安全面の問題がないかをチェックするそうですが)。

地球・人間環境フォーラムのこの記事にもあるように、電池の回収にはまだまだ課題が多いんですね。JBRCの方によると、充電池(二次電池)の回収は資源の有効利用が主目的で、水銀を含む可能性のあるボタン電池の回収とは意味合いが違います(※これは現在の主流のLi-ion充電池の話で、Ni-Cd充電池は正しく処理しないとカドミウムによる汚染に繋がります)。けれどもJBRC会員企業の品でないからといって可燃ゴミや不燃ゴミとして充電式ライト等を出してしまうと、収集車や破砕機などの中で発火して作業員の身に危険が及ぶ可能性があります

寿命を迎えたバッテリーをちゃんと処分して欲しいと思うユーザーは、「JBRC会員の製品かどうか」を自転車用品の購入指標の一つに入れるべきなのかも知れません。自分は今後そうします。自転車関係の代理店さん、JBRCに入って下さい。


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