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【ビジネス】スタッフの横領:アジアのチームマネジメントについて考察

去る6月に、信頼していた営業スタッフを一人解雇することになりました。タイトルにもあるのですが、まさかの横領です。元々B2Bの営業をメインに担当してもらっていて、会社を通さず個人名義で販売・手数料をピンハネしていたようです…

今思えば幾つか気づけた兆候や、こうしておけば良かった、というポイントはあるのでここでまとめておきます。

1. 社員の不誠実を生み出さないための仕組み

(1) 徹底的なバックグラウンドチェック
先日書いたように、バングラを始め南西アジアは転職が多いです。単純に少しでも良い環境・給与を求めて、という理由なら良いのですが、中には前職で何かしでかして解雇というケースもあります。そのため、面倒くさがらず、直近数年で働いた会社からのクリアランス・レターの提出を求めましょう。出そうとしない場合は、何かあるかも?と考えるきっかけとなります。

また、これは面談で良く話して見極めるしかないのですが、ハングリー精神の健全さも重要な観点です。どこの国でも同じとは思いますが、やたら個人の手取りばかりに目が行き、結果ルール違反を犯す人はいてしまう。給与もさることながら、個人としてのスキルアップ・長期的なキャリアビジョンを持っているかどうか、というのもしっかり聞いた方が良いです。

その意味で、前職の給与明細の提出を求めるのも、不必要に高い給与を求めてこないか?給与ばかりに目が行っていないか?の目安になると思います。

(2) 急なライフスタイルの変化には要注意
今回解雇せざるを得なかったS君の場合、元々の生活水準から考えると違和感のあるような変化が出ていたようです。例えば急に携帯を持ったり、バイクに乗り始めたり。

ちらほら現地スタッフから噂を聞いていたのですが、自分が現地出張に行けないこと、S君の(ピンハネしていたとしても)営業実績の良さから重宝し、そのままにしていました。ここは自分の反省で、現地の同僚が気づく変化にはもう少し敏感で、早期にしかるべき行動をとるべきだったと思います。

(3) 隙のないビジネスモデルの構築=お金は一人に触らせない
また、そもそも横領をし得る環境を作ってしまったことが大きいです。

B2Bの営業はS君一人にほぼ任せていて、お金も彼がある程度自由に管理できる状態になっていました。お客さんとのFacebook上でのやり取りはある程度フォローしていたものの、彼独自のコミュニケーション・ツールや物流(自分用のWarehouseを持っていたようです)の存在までは追えていなかった。そのため、何か仕入れるときには必ず別のお金を扱う人を通すといった仕組みが必要ですね。

(4) 監査役はいた方が良い
(3)と重複しますが、明確にコンプラ違反を取り締まる役割のスタッフを1名置こうとしています。その人にはディーラーを物理的に回ってもらって、客観的におかしなところがないかチェックしてもらう。人数を絞りたいフェーズでは難しい面もありますが、一人の人にオペレーションが閉じてしまうのは避けたいところ。

2. 社員の成長を後押しする仕組み

上で「ネガティブをなくす」仕組みづくりについて書いたので、次により社員を活かす仕組み、について。

A君というバングラ現地スタッフを念頭に書いているのですが、彼はカワサキ(二輪)のマーケティング担当として入社、その後3年の間にカワサキの事業部長→更にはヘルメット等のアクセサリー販売(Vulcan Lifestyle)事業も提案・拡大してくれた、大変頼もしい存在です。

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(1) ’提案型’人材かの見極め
これはバングラに限った話ではないですが、スタッフレベルでの採用であっても、将来の昇格を視野に、「指示待ちタイプか、提案タイプか」を面接時に見極めることはとても重要です。

南西アジア=アグレッシブな人が多い、というイメージで間違いではないのですが、自分の給与交渉だけアグレッシブで、仕事自体は逐一指示を仰ぐタイプの人も多いです。その辺りは面接で過去の実績や自己成長へのハングリーさをしっかり質問しましょう。

(2) 信用できる人への成長機会は惜しみなく
先ほどのS君の事例からもあるように、何かを任せることはリスクを伴います。とは言え、やはり優秀な人材には気持ちよく成長してもらいたいので、ある程度実績を積めばどんどん新たな機会を提示した方が良いです。

A君の場合も、私の現地のビジネスパートナーがとても可愛がっていて、彼の積極性に応えるように色んなことを任せていきました。

(3) 一方で昇給・昇格の基準は明確に
(2)のポイントの裏を返せば、そしてここが南西アジアあるある、なのですが、スキルアップに貪欲が故に、給与交渉(からの’上げなかったや辞める!’宣言)は誰でも非常に激しいです。

しかし、全てに応えていたらビジネスがもたない&不公平なので、ここは毅然としたKPIマネジメントが必要で、売上や勤務態度(遅刻回数等)を期待値を合意した上で、決まったサイクルで判断するのが適切です。どんなに面倒でも、組織づくりの初期から取り組んだ方が良いポイントです。

それでも交渉してくる場合、それが組織に必要な人材の場合は、手間を惜しまず、1対1で話して、説き伏せるしかないです笑

(4) 会社=コミュニティの運営、の意識で
今の日本の感覚から言うと古い、となるかもしれませんが、南西アジア諸国は意外に密な社員コミュニケーションを好みます。

皆で会食、季節ごとのオフィスイベントであったり、「〇〇Award」みたいな個人表彰だったり… 地味だけど温かい施策の努力を怠らないことが結構大きな差を生み出します!

3. まとめ

以下、南西アジア諸国で起業するときのチーム作りのポイントまとめです。

〇自分の給与に執着しすぎる人は雇わず、全てのオペレーションが一人に閉じてしまう状況は避けること
〇現地スタッフの同僚への気づきの声は大事にし、異変を感じたらとにかく話すこと
〇優秀・信用できる人材には思い切って機会を渡しつつ、給与交渉には毅然とした基準・態度で臨むこと
〇昔の日本のような、会食・イベント・個人表彰の効果を侮らないこと

それでは!

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