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「この家いくらで建てられますか?」に対する真面目な答え②
前回記事のおさらい
「この家いくらで建てられますか?」に対する真面目な答え①という記事では、住宅の価格が建物の大きさによって変わること、坪単価が一つの目安になること等についてお話させていただきました。
床面積×坪単価で工事費のおおよそのアタリを付ける事が出来ることが分かりましたが、実際に坪単価の高い建物(ハイエンドな建物)と、坪単位を抑えた建物(ローコストな建物)では何が違うのでしょうか?
使用する建材のグレードについて
床材としてよく使われる「フローリング」を例に考えてみましょう。
フローリングは15mm程度の厚みの床材ですが、色々な種類が存在します。
具体的には、5,000円/㎡を切るくらいの比較的安価な製品から、30,000~40,000円/㎡を超えるような高級なグレードまである、とても奥の深い建材です。
・シートフローリング
(合板の表面に木目調に印刷されたシートを張り付けた板)
・突板フローリング
(合板の表面に薄くスライスした天然木を張り付けた板)
・挽板フローリング
(合板の表面に2~3mm程度に挽いた天然木を張り付けた板)
・無垢フローリング
(合板無しで全て無垢の天然木で作られている板)
安い順に挙げると、大きくは上記のような分類になるかと思いますが、さらに同じ分類のフローリングの中でも、木の種類によって価格は変わります。色や木目の好みに合わせて、オーク、ウォールナット、チーク、クリなど色々な樹種を自由に選ぶことができますし、フローリングの板幅も90mm程度から250mm程度まで様々ですが、希少な木材で幅広の製品になるほど価格も上がるということになります。
和風住宅で杉や桧を使う場合でも、節の数や木目によってグレードが異なりますし、洋風の場合でもヘリンボーンや朝鮮張りなど、張り方に手が込んでいると高級感が出ます。更に、表面にハンドスクレイプで凹凸が付けられている商品や、表面の仕上げの種類(ウレタン系/オイル系)も多種多様で、調色した特注色で製作することもあります。
上記では、フローリングを例に挙げましたが、天然石、タイル、カーペット、モルタル、塩ビシートなど、床材1つをとっても無数の選択肢があります。同様に、壁や天井の仕上げ材、あるいは外装材の種類なども本当に幅が広いので、1つ1つの材料の選び方だけでも全体の建設コストが大きく変わってきます。
実際には、打合せの中でこれら全ての詳細をご説明・確認することはなかなか難しいので、ある程度こちらにお任せして頂きながら、意匠性や機能性を損なわないように(むしろ最大限に理想を実現できるように)設計を進めていきます。
弊社では、打合せの中で松・竹・梅のサンプルを確認して頂きながら、どの部位にどれくらいのコストをかけるべきか、お客様と相談を重ねるようにしています。私個人としては、足や手などが直接触れる場所の手触りや質感を重視するべきだと考えており、その意味で床にはややグレードの高い建材をおすすめしています。
先の例では、シートフローリングは表面が平滑で吸湿性がないので、お風呂上り裸足で歩くとペタペタする感覚が残ってしまいます。挽き板や無垢フローリングで凹凸加工までされたフローリングの心地よい踏み具合とは雲泥の差がありますので、予算が許せば後者のフローリングを採用したいところです。
キッチン、風呂、トイレなどの住宅設備
住宅の中には、床・壁・天井の建材の他に、単体でドンっとお金がかかる部分があります。それは、キッチンやバス、トイレなどの「住宅設備」と呼ばれるものです。
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