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短編小説「世界はかくも愛おしい」

皆さんおはようございます😃

今日も元気なコースケです♪😚

さ、今日も短編小説を掲載しますよ〜😆↓

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「世界はかくも愛おしい」No,8/1000

プロローグ

荒れ果てた街の片隅、少年は瓦礫の上に座り込んでいた。
目の前には崩れた建物と、灰色に染まった空が広がる。
遠くから聞こえるのは、まだ終わらぬ争いの音――爆音と怒声。

少年の名はレン。
彼はこの街に生まれ、ここで育った。
しかし、争いがすべてを奪い去った。
家も家族も、未来への希望すらも。

「もう、何も残っていない」
そうつぶやいて、レンは目を閉じた。

第一章 踏まれた草木のように

レンが目を開けると、足元に一本の小さな草が生えていた。
瓦礫の隙間から顔を出したその草は、ぼろぼろの葉を広げていた。

「こんな場所に……」

レンは思わず手を伸ばして触れようとしたが、途中で止めた。
「どうせすぐ枯れる」
そうつぶやき、草を見捨てようとした。

だが、その瞬間、草の先端がわずかに揺れているのに気づいた。
瓦礫の影に隠れながらも、草は太陽の光を求めて伸びていた。

「……なんで、こんなところで」
レンの胸に、かすかな違和感が芽生えた。

第二章 獣の誇り

その日の夜、レンは野外に設置された避難所に戻った。
そこで彼は、同じ避難民の少年たちが、互いに食料を奪い合っているのを目撃した。

「やめろよ!」
レンは思わず声を上げたが、少年たちは無視して争い続けた。

レンは悔しさで拳を握りしめた。
争いに疲れ、何かを奪わなければ生きられない現実。
自分もまた、彼らと同じように生きるしかないのだと、そう思っていた。

だがその時、近くにいた年老いた避難民がつぶやいた。
「誇りを忘れたら、人間じゃなくなる」

その言葉が、レンの心に鋭く突き刺さった。

第三章 世界の微笑み

翌朝、レンは再び瓦礫の街へと足を運んだ。
昨日見かけた草は、相変わらずそこにいた。
むしろ、昨日よりも少しだけ背が伸びているように見えた。

そのとき、空を見上げたレンの耳に、小鳥のさえずりが届いた。
遠くの電線に、何羽かの小鳥が並び、明るい声で歌っている。

争いの中でも、瓦礫の中でも、草は伸び、小鳥は歌う。
それはまるで、世界が「まだ終わっていない」と教えてくれているかのようだった。

「……俺も」

レンはそっと草に手を伸ばし、瓦礫を取り除いた。
「俺も、お前みたいに光に向かって生きてみようかな」

エピローグ

それから数週間後、レンは避難所で、少しずつ人々と手を取り合うようになった。
奪うのではなく、分け合い、支え合う生活。
それは簡単ではなかったが、少しずつ人々の顔に笑顔が戻り始めた。

レンは毎朝、瓦礫の草を見に行った。
あの草は、周りの瓦礫が片付けられたことで、さらに大きく育っていた。

「ありがとう」
レンは草に向かって小さくつぶやいた。

草木も、獣も、小鳥も、星も――すべてがレンに生きる力を教えてくれた。
そして、レンは気づいた。

世界はまだ美しい。
どんなに荒れ果てても、この命の輝きは消えない。

「祝福あれ。世界はかくも愛おしい。」

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ここまで読んでくれてありがとうございます🥰

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では、またお会いしましょう、良き一日を😌🍀

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