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短編小説「親父と俺」
皆さんおはようございます😃
今日も元気なコースケです♪😚
さ、今日も短編小説を掲載しますよ〜😆↓
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「親父と俺」No,12/1000
第一章:自分一人で大きくなったと思っていた頃
拓也(たくや)は、自分の人生を誰にも頼らず生き抜いてきたと信じていた。大学進学のためにアルバイトを掛け持ちし、一人暮らしを始め、社会人になってからも仕事に没頭する日々を送っていた。田舎で暮らす両親には最低限の連絡しかしない。「親父も歳を取ったな」と思うことはあったが、それ以上深く考えたことはなかった。
ある日、父親の正彦(まさひこ)が病に倒れたと連絡が入った。帰省した拓也が見たのは、痩せ細り、小さくなった父の姿だった。病院のベッドで弱々しく笑う父を前に、拓也は言葉を失った。
「お前も、立派になったな」
その一言に、拓也の胸は締め付けられた。いつから父親は、こんなにも小さくなってしまったのだろう。
第二章:父の涙
父が倒れた後も、拓也は仕事に追われていた。しかし、ふとした時に思い出されるのは、父が家族を支えてきた記憶だった。彼は、幼い頃の父親の姿を思い出した。
正月の寒い朝、冷えた手で凧を揚げてくれた父。夏の夜、汗をかきながら一緒に虫を捕りに行った父。そして何より、誰よりも強く見えたその背中。
父は決して裕福ではなかったが、家族のために全力を尽くしていた。そんな父が病床で見せた涙に、拓也は戸惑った。
「俺は、あの親父を超えられるのだろうか?」
この問いが、拓也の胸にずっと突き刺さっていた。
第三章:父の旅立ち
その日、拓也は仕事を早めに切り上げ、久しぶりに病院を訪れた。しかし、病室のベッドは空になっていた。看護師から父の訃報を知らされた時、彼は現実を受け止めることができなかった。
夜、父の遺影の前で拓也は一人静かに手を合わせた。父が残したものを振り返るたびに、胸に込み上げる感情を抑えることができなかった。父が天国に旅立つ前日、かすれた声で言った言葉が耳に蘇る。
「拓也、家族を頼む」
その言葉を守る覚悟が、拓也の中に芽生えた瞬間だった。
第四章:しばらくの時間差の後、それを愛と名付けた
父を失ってから数年が経った。拓也は結婚し、二人の子供を持つ父親となっていた。子供たちが成長するにつれ、彼は次第に父の言葉や行動の意味を理解するようになった。家族を支えるとはどういうことか、親としての責任とは何か。そして、何より父がどれほどの愛を注いでくれていたか。
ある日、拓也は自分の子供たちを連れて実家に帰省した。父の仏壇に手を合わせながら、彼は静かに語りかけた。
「親父、ありがとう。俺、親父の背中にはまだ追いつかないけど、家族を守るって決めたんだ」
涙が一筋、頬を伝った。その涙は後悔だけでなく、深い感謝の証でもあった。
終章:今年もお盆がやってくる
夏のお盆。拓也の家族は親戚一同と共に実家を訪れた。子供たちは笑いながら庭を走り回り、大人たちは仏壇の前で手を合わせた。
「おじいちゃん、ありがとう!」
孫たちの声が仏間に響く。拓也はその様子を見て微笑んだ。父が築いた家族の絆は、今も確かに息づいている。父が残した「何か」に、今では誰もがその名を付けられるようになっていた。
それは、愛だった。
仏壇に飾られた父の写真が、静かに微笑んでいるように見えた。
おわり
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ではまたお会いしましょう、良き朝を😌🍀