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短編小説「本当の私」
おはようございます😃
今日も元気なコースケです♪😚
さ、今日も短編小説を掲載しますよ〜😆↓
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「本当の私」No,3/1000
夜明け前の静寂は、沙耶にとって最も安心できる時間だった。闇が支配する世界に、まだ誰も目覚めていない。その中で自分とだけ向き合えるこの瞬間を、彼女は密かに愛していた。
ある日、沙耶は不思議な夢を見た。夢の中で彼女は広大な真っ白な空間に立っていた。その場所には形も色もなく、ただ無限に広がる静けさがあった。そこに、何かが囁いた。
「あなたは本当の自分を知りたいのか?」
その声はどこからともなく響き、沙耶の胸の奥に直接届くようだった。彼女は無意識に頷いた。
「では、全てを思い出す旅に出るのだ。」
目を覚ました沙耶は、夢の内容を覚えていた。なぜか涙が頬を伝っていた。深呼吸をしながら、彼女は手のひらをじっと見つめた。その掌には何も握られていないように見えたが、なぜか「全てを握っている」と感じた。
沙耶はその日から、日常の中に隠された「本当の私」を探す旅に出た。朝の光に包まれるとき、彼女は「今日も生きている」という事実を噛み締めた。通勤電車の中で、自分と同じように生きる人々の顔を見ながら「彼らもまた何かを抱えている」と思うようになった。
夜、眠りにつくとき、彼女はそっとつぶやく。「もし明日目覚めたら、それは奇跡だ。」その言葉が、彼女を支えていた。
ある夜、彼女は再びあの白い空間に戻った。今回は独りではなかった。目の前に、自分と全く同じ姿の「誰か」が立っていた。その存在は微笑んでいたが、言葉を発しなかった。
「あなたは……私?」
その存在はゆっくりと頷いた。
「私は……私を愛しているの?」
その瞬間、沙耶の胸に温かな感覚が広がった。それはこれまで感じたことのない感謝と愛だった。涙が溢れるのを止められなかった。
目を覚ました沙耶は、窓の外の空を見た。夜明けの光が街を包み始めていた。手のひらをそっと広げると、そこには何もないはずなのに、すべてが詰まっているように感じた。
彼女は心の中でつぶやいた。「ありがとう。本当の私に出会わせてくれて。」
そして、静かに笑った。自分自身を抱きしめるように。
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ここまで読んでくれてありがとう🥰
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では、またお会いしましょう、良き一日を😌🍀