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波乱だった過去【6・仲間はずれの貧乏人】

4年生に進級してすぐ
私は学級委員になった。

小学校生活で
一番楽しく充実していたのは
この4年生の時だけかもしれない。


同じクラスでとっても頭が良い
A君という男の子が初恋の人で
私は1学期の間
A君と一緒に学級委員を務めた。


この頃は学校でも居場所があり
普段遊べるお友達も居て
好きな人と学級委員をやり
楽しく学校生活を送れていた唯一の時期だ。


家庭内は相変わらずだったけれど
学校に友達や居場所があるだけで
幸せだった。


私は女子会とかが未だに苦手なのだけど
当時から男っぽい性格で
女子のグループよりも
男子の中で女子ひとりみたいな
そういう環境でいることが多かった。


今思えば
発達障害(アスペルガー)で
陰口やうわさ話好きな女子より
裏表無く接することができる男子といる方が
とても楽だったのだ。



仲の良い女の子が1~2人居て
あとは男子みたいな
そんな感じ。


だから女子が集まって
前日のテレビの話やアイドルの話をするよりも
男子と校庭でドッヂボールしてる方が
遥かに楽しかったのだ。


だけど5年生になり
クラス替えになって間も無く
私は女子から仲間はずれにされ始めた。

5年生にもなると
何だか女子が色気づいてきて
男子とばかり遊んでると

「なんで城戸さん(子供の時の苗字)は
男子とばかりいるの?」

とヒソヒソ陰口を言われ始める。



私は当時身体が小さくて
前ならえではいつも先頭。

しかも当時は
片親の家はクラスに1人か2人で
父親がいなくて夜もひとり
自分の部屋もない狭い家に住む私は
イジメるには格好の標的だった。


「城戸さんは生理まだ来ないでしょう?笑」
と笑いながら言われたり
遊びの仲間やグループに入れてもらえなかったり
暴力的なイジメではないものの
あからさまな仲間はずれやイジメが起こり始めた。


それまでの
男子と自由奔放に遊び
明るかった本来の私は委縮し始め
だんだんと暗い内気な女の子になっていく。




一番忘れられないのは
裕福で意地悪なSさんのお誕生日会。


唯一仲良くしていた
ちーちゃんという友達がいたのだが
ある日ちーちゃんと遊んでいたら
Sさんの誕生日会に呼ばれてるから
早めに行かないといけない
と言われた日があった。


私は家に帰ろうとしたが
ちーちゃんは一緒に行こう!と
私を引き止めた。


そもそも私は呼ばれてなんてないし
Sさんは私を仲間外れにするグループの子。

「私呼ばれてないからいいよ!」
と何度もちーちゃんに言ったが
「私と一緒なら大丈夫だよ!入れてくれるよ」
と説得するちーちゃんに連れられ
とにかく不安で憂鬱だったけど
一緒にSちゃんの家の前まで行った。


ちーちゃんがチャイムを鳴らす。

私は少し下がった位置で
不安な気持ちで待っていた。


そして笑顔で玄関先に出てきたSさんが
私の顔を見るなり
キャンディキャンディに出てくる
イライザ並みの意地悪な表情で

「なんで、城戸さん来るの?呼んでないよ!」
これまたイライザ並みに言い放った。

そしてイライザ並みに
玄関先でちーちゃんだけを自宅に入れて
私には家の中すら見せないように
私だけを玄関の外に残し
バタッとドアを閉めた。


歓迎してもらえないとは
思っていたが
ここまであからさまに除け者にされ
私のプライドも心も
最上級の屈辱を味わい
ボロ雑巾のようだった。



幼稚園も行かずにフラフラし
街一番のお金持ちの娘にバカにされた
あの日の出来事と重なる。


でも幼かったあの頃みたいに
怒って相手を殴るなんて
当たり前だけどできなくて
私は言い返すことすらできず
ただ我慢するしかなかった。


いつのまにか
泣くことも
怒ることも
気がついたら
素直にできない私になっていのだ。



学校では仲間はずれ。

家でも
いつもひとりぼっち。


母は水商売をしていて
家にも週1〜3日くらいしか帰ってこなかったから
学校の行事なんかは全く来てくれなくて
授業参観も入学してすぐの1年生の時に
たった1度きり来ただけで
それ以降は卒業式まで一切来たことがなかった。



もちろん運動会だって
一度も観に来てくれたことはない。



だから学校の行事なんて好きじゃなかったし
そもそも誰も見に来てくれるわけじゃないから
やり甲斐も頑張ろうとも思えない。

当然だけど
私が競技を頑張ったところで
見ててくれる人も
写真を撮ってくれる人も
誰もいないのだ。


お昼のお弁当の時間なんかは
通常みんな家族と一緒に校庭で
レジャーシートを広げて食べるのに
私の場合は家族が誰も来ていないから
どこかの家族に
ひとりお邪魔して食べなければいけない。


他の家族のレジャーシートに
ちょこんとお邪魔して
小学生ながら申し訳ない気持ちと
惨めな情けない気持ちとが入り混じる。

みんな誰かしら家族が来てて
大きなお弁当を広げて
家族でワイワイ食べている。

「さっきのかけっこ凄かったね!!
写真撮ったよ〜!」

なんて親が笑顔で話してる
そんな団欒な会話を横目に
私はおばあちゃんが作ってくれた
お弁当を食べる。


私にとって学校行事はすべて
義務感そのものだった。




授業参観だって
張り切って手を挙げても
誰も見てくれる人も居ないし
私の創作物だって誰も見ちゃいない。

そんな寂しい思い出しかない
小学校時代。








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