読書ときどき音楽も#134

「ひきこもり処世術」カレー沢薫(講談社)

 新刊が出たと聞けば、形式を問わず買う推しの作者の新刊。しかもいきなり文庫。こうなると昨今の出版業界の厳しさがひしひしと伝わるが、賢くない消費者としては「安く買える」のは少し嬉しいので、さっそく通勤のお供で読み進める。
 いわゆる「コロナ禍」の真っ盛りに綴られたコラムであるので、少し時のたった現在から読むと、「こんなことしてたなあ」とか「不安だらけだったなあ」と懐かしく感じる部分も。個人的にも緊急事態宣言中の不安だった時期を思い出し望まずともひきこもり状態になっていたから気が変になりそうだったことも思い出した。それでも著者得意の軽妙な文体で重苦しく感じないので、ひきもこもりを崇めつつも、人としての最低ラインは踏み外さないように指摘してくれる優しさがグッとくる。
 ただ、2024年7月現在、世の中も職場も感染者が増えてきているのでそろそろ自分も逃げられないか、とびくびくしている日々を過ごすのに最適の本であることは間違いがなかったのであった。そして「最低限の身だしなみ」が大事であることだけは絶対に忘れないようにしようと思った。

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