読書ときどき音楽も#140

「長い冬 ローラ物語1」ローラ・インガルス・ワイルダー/谷口由美子:訳(岩波書店)

 「大草原の小さな家」シリーズ第5弾。この話のみ講談社文庫版では翻訳されていないのと、時系列的に「シルバー湖のほとりで」の続きになるので本当は「農場の少年」を先に読むのだろうけれど、個人的趣味でこっちを先に読むことにした。あとは、タイトルで想像がつくように(何せ原題もそのままの「The Long Winter」だ)シリーズ一過酷な舞台となるため、間違っても冬に読みたくないなあと思っていたのでこの時期に読むことにした。雪で閉ざされ交通はマヒし、そして乏しくなる食料と燃料…。実際はすさんだことも起きただろうけれど児童書なので直接的なことは書かれていないけれど、その分極限状態まで追い詰められているなと感じて気分が重くなった。分かっていてもラストで感動。
 実はこの作品が日本では一番最初に翻訳されたことを知って意外だったけれど、作品の初出が1940年で、日本版が1949年と早かったのは当時の日本の状況に合っていたからという仮説を見て、なるほどなと思った。他の出版社が翻訳しないのは、これだけ「異常気象には太刀打ちできない」というのはファンタジーではないし、とある登場人物の活躍もこの段階では早いと感じたのかも?とうがってしまったからでもある。あと、やっぱり真冬に読まなくて良かった。

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