読書ときどき音楽も#110

「わたしの証拠1」カレー沢薫(小学館)

 自分にとって「カレー沢薫」さんは、漫画、文章と新刊が出る度にほぼ脊髄反射的に買っているほど好きな著者と言っても過言ではなく、作者お得意の「普通かそれよりもちょっとダメな人間が起こす日常のショートショート」だけれど、内容がどれもこれもいい。基本的にシニアの人を主として、それにからむ様々な立場の人が巻き起こす1話完結型の物語だけれども登場人物がどれもこれもひねくれていていいのである。
 冒頭から女手ひとつで育てた息子に対する母からの愛あるダメ出しでちょっとウルっと来てしまった。読後は親や職場のちょっと困ったちゃんにも優しくしたくなる本である。人気作となってほしいけれど、欲を言えば絶対にアニメ化や実写化はしてほしくないので書籍に長く読まれて続けてくれればよいなと勝手な感想を述べてしまうのであった。年下だけれど一方的に「人生の師匠」だと思っているのでいつかお目にかかりたいものである。

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