他力(ときどき自力も)で楽しむ読書#94
「食道楽」村井弦斎(岩波文庫)
食べることが好きなせいか、「料理」をテーマにした漫画やエッセイ、小説も好きである。その草分けと言っても過言でないのが、この「食道楽」である。元々はいわゆる「トンデモ本」としての紹介で知り、読んでみたいなと思ったがその時は読む機会がなく、かなり後になってから岩波文庫の重版で目にして迷わず購入。初出が新聞小説だったこともあり、文章は今のようにソフトでないものの一章ごとが短いため、なかなか楽しく読むことができた。明治時代に書かれたものと分かっていても、いわゆるフルコースまで登場するので「食べてみたい…」と思ってしまった。ただ、ラストは…ヒロインは作者の奥さんがモデルらしいから、いくら主人公と言えども嫁にやるのが惜しくなったのだろうか?大原君(主人公)が気の毒でならない。これも誰かにコミカライズしてほしい作品だけれども、現代だと表現に問題がある箇所もちらほらあるから難しいだろうなと思ってしまう。タピオカが明治時代から日本にあったこともびっくりした。
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