読書ときどき音楽も#159

「青空娘」源氏鶏太(ちくま文庫)※電子版

 新しい年が始まったので、いつものどろどろしたものでなくさわやかな読後感のものをチョイス。先日のKindleセールで出ていたので深く考えずに購入。自分が子供の頃(昭和です…)、古本屋あたりで見たような著者名だなあとあいまいな記憶もあるけれど、表紙のイラストがよい。早速通勤のお供として読むとこれがなかなか面白い。
 いわゆるシンデレラストーリーものであるが(実際に小道具に“靴”は登場します)、主人公がただか弱いだけでなく、また悪人サイドも改心するのはひとりだけで、あとは反省もしないのが逆にリアリティがある。まあ、現在のように恋愛結婚が主流になると悪役視点でのストーリーはどうなるかなとも思ってしまうが、やはり一番悪いのは父だとおそらく若い頃読んでも断言できる(笑)。映画の方は未視聴なので機会があったら是非見てみたいものである。ラストに余韻を持たせているのもまた良い。本編とは関係ないかもしれないけれど、作品発表当時の「ご馳走」がリアルで食べたくなった。

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