読書ときどき音楽も#23
「ピㇼカチカッポ(美しい鳥) 知里幸恵と『アイヌ神謡集』石村博子(岩波書店)
少し前に連載最終回を記念して3日間限定の『ゴールデンカムイ』1巻から28巻まで無料で読めるキャンペーンがあった時、未読だったので飛びつき、時間を捻出しつつ頑張って読破した時の満足感は作品が面白かったこともあって何かをやり遂げた感があった。
その時に思い出したのが、多分興味があったからだろうけれど、大分前に電子書籍で購入したはいいものの、数多い“電子積ん読”の一冊となってしまった『アイヌ神謡集』のことを思い出した。思い出した以上はいつ読もうかと思っていたところ、書店で出会ったこの本を思わず買っていた。『アイヌ神謡集』の作者で19歳という若さで亡くなった知里幸恵さんの生涯と『アイヌ神謡集』の制作過程にまでせまった評伝で、たいして分かっていない自分にも百年前にすごい女性がいたんだなと思った。もしもう数十年生きていたら、文学の歴史も変わっていただろうなと夢想してしまう。そろそろ苦手意識をとっぱらって『アイヌ神謡集』を読んでみないと強く思った夜であった。