読書ときどき音楽も#144

「農場の少年」ローラ・インガルス・ワイルダー/こだまともこ、渡辺南都子:訳(講談社)

 「大草原の小さな家シリーズ」も6冊目。だけれど、この巻だけは主人公が変わる。「シルバー湖のほとりで」で唐突に登場したワイルダー兄弟の弟が主役。
 なぜこの人物がクローズアップされるのかはこの段階では不明であるが、開拓民のインガルス家と違って経済的にも裕福な農家のワイルダー家の生活がメインの作品。肉体労働が厳しいせいもあるけれど料理の種類がとにかく豊富で量も多く、読んでいるだけで中年はお腹がいっぱいになるのであった。農家だからといって全てが自給自足ではなく、作物やバターを売って現金収入を得る描写や、銀行へ預けるなど結構児童書にしては生々しい部分もちらほらあって結構面白かった。たださらっと触れているが、新任教師を地元の有力者の子どもがあれこれしてしまう話は現代でも通じる分読み進めるのが辛い部分もあってやはりおとぎ話ではないと痛感。シリーズもいよいよ終盤に入りどういった人間関係になるかが楽しみになってきた。

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