その目線はプロとは言わない
うちのスタッフさんは嵐ファンが多いんですが、11月3日に休み希望が多くてギリギリの人数での勤務しか組めず、僕にとっても嵐の日になりそうです。
こんにちは、コッシーです。
さて、介護事業では利用者さんのサービスを開始する前や介護支援計画などを変更する際に『サービス担当者会議』という打合せを開きます。
略して『担会』と呼ばれるこの会議は、利用者さんに関わるサービス提供者が一同に会しそれぞれの立場から利用者さんにどのようにサービスを提供するのが良いかを話し合う場となります。
僕はこの担会が結構好きでして、その道の専門職の方々が利用者の課題に対してその経験と知識から繰り出される意見に僕の脳みそはガンガンに刺激され、「なるほどーー!!」とドーパミンがドパドパ出るのです。#ガンガンドパドパ
例えば、理学療法士や作業療法士などのリハビリに関してのスペシャリストたちは、「利用者さんのこの目標を達成するためには、この可動域を広げる必要があるため、こういう運動を行いましょう」と瞬時に判断されます。その流れるよなスマートさに、僕みたいなトーシロは「すげえ!すげえ!すげえ!」としか言えません。#伊之助が初めて義勇に会った時#鬼滅の刃面白い
基本的に専門職の方たちの経験や知識を活かした意見というのは、あくまで利用者さんにとって何が1番良いかというのが前提にあります。
当たり前ですが、いくらすげえ!知識であっても利用者さんのためにならないのであれば全く意味がないのです。
骨折して入院をしていた入居者のMさんが退院し、サービス担当者会議を開いた時の話です。
Mさんは94歳の女性の方で、デイサービス利用時に転倒し臀部骨折して入院していました。入院前は自分の足で歩けていましたので、病院ではご自身で歩行できるようにリハビリを続けてきましたが、認知症も進行しているためか、病院でのリハビリがあまり上手く行かず、結局車椅子で戻ってきました。
担会ではMさんの歩行をどうするか、が焦点になりました。
デイサービスの作業療法士の方は、「Mさんなら歩ける力はあります。歩行訓練を行いましょう!」と言われます。おそらく専門職の目から見て、Mさんなら歩けると判断されたのでしょう。確かに病院のリハビリでも介助しながらなら数歩は歩けているとのことでした。
しかし息子さんはその判断に疑問を持っていました。
デイサービスでのリハビリを続ければ歩けるようになるかもしれませんが、ちゃんと歩けるようになる間、転倒のリスクがあるのではないかという事でした。
その疑問に対して作業療法士の方は、「歩けるようになるにはどうしてもリスクは付き物です。Mさんは必ず歩けるようになります!歩行訓練をやりましょう!!」と言っていました。
確かに、自分の足で歩くということは自立支援という意味からするととても大切な事だと思います。
しかしMさんの年齢を考えるとはたしてリスクを冒してまで歩行訓練するのが本人にとって1番良いのでしょうか。
僕は担会において基本的に専門職の方の意見に関しては口出ししません。そこは僕の拙い知識では及ばない深い考えがあるはずです。餅は餅屋です。素人が口出ししない方が良いと思っています。
しかし、その意見が入居者のためになっていないと思ったら別です。ましてやご家族も疑問に思う意見です。大切な入居者とご家族を守るためには、専門職に対してもビシーッと言うべきことは言うのです!やる時はやる男です。
「あ、あのう…Mさんの年齢を考えると…このまま車椅子の方が本人さんにとっては転倒リスクが無くて良いと思いますが…」
僕のビシッと決めた(?)意見に対して、その作業療法士以外の参加者が幸いにも賛同していただき、結局Mさんの歩行訓練は行わないことになりました。
Mさんが今後ご自身の足で歩くことはないかもしれませんが、それでも転倒して骨折してしまうリスクはとても低いと思います。
どちらがMさんにとって良いか正解は無いかもしれませんが、Mさんの年齢を考えると、僕としては安全安心にそして穏やかに暮らしていただくのが1番だと思いました。
Mさんの担会から半年ほど経っていますが、Mさんは転倒することなく穏やかに暮らしています。
専門職の方はとてもプロ意識が高いため、ともすれば自分なら出来るとか自分しか出来ないとか自分中心で考えてしまうことがありますが、大切なのはそれが利用者とって良いか悪いかという目線だと思います。
その目線を持てないのはやっぱりプロ失格じゃないかなと思うわけです。
そして僕のようにそういう方にビシーっと指摘できるのが本物のプロだと思うわけです。
(ビシーっと指摘?)
現場からは以上です。それではまた。
コッシー