迷信
13日の金曜日ということで、本日の記事はほんの少しだけ怖いお話になります。そういう系のお話に弱い方は気合を入れて読んでください。#読むなとは言わないスタイル
こんにちは、コシ川淳二です。(やだなー怖いなー)
さて、数カ月前のお話になりますが、施設にあった壊れた車椅子や使わなくなったプリンター、本棚といった粗大ごみを業者に依頼して回収してもらいました。
頻繁に回収してもらうわけではないので、ついでとばかり「これも、それも、あれもお願いします」と倉庫内にあるいらないと思われる物を回収業者さんに片っ端から頼みまくっていたところ、あるモノが僕の目に留まりました。
それはガラスのケースに入った市松人形でした。
高さ1メートルくらいあるとても立派な人形で右腕の部分が取れていることから相当年季が入っているように見えました。
スタッフによると、かなり昔に利用者さんからいただいた物らしく当時は施設内に飾ってあったみたいですが、今はもう倉庫の隅で眠っているようでした。
「これっているのかな?」
「いやもう使わないのでいらないと思いますよ」
「捨てちゃっていい?」
「ずーっと倉庫に置いてあるくらいなんで良いんじゃないですかね」
「だよね!捨てちゃおう!」
いくら立派な人形とは言えずっと倉庫番になっていては意味がありません。この機会に捨てることにしました。
「これも持っていってください」
「なんか不気味ですね。罰が当たりそうですよね(笑)」
「気を付けて持って帰ってくださいよ(笑)」
「了解でーす(笑)」
そんな風に冗談を言い合いながら、人形も回収をしてもらい、スッキリした倉庫を見て満足していました。
それから数日か経ったある日、ある1人のスタッフがこんな事を言い出しました。
「そう言えば、先日捨てた市松人形ですけど、あれって供養とかしなくて良かったんですかね?」
僕はこれまでそういう人形の類を処分したことがなかったため知らなかったのですが、どうやら古くから日本には人形を処分する際には供養をするという習わしがあるようでした。
それは長年苦楽を共にした愛着のある人形に感謝の気持ちだったり、また「厄を代わりに引き受ける」という人形の持つ役割から、それの労いの意味も込めてなど、様々な理由から供養をしてきたみたいです。
人形を供養をせず、無碍に捨ててしまうと罰が当たったり災いを被ったりするなんて、言われたりします。
僕は霊やお化けのような迷信を全く信じていなくて、この話を聞いた時でも、「そっかー。まぁでももう捨てちゃったからね。大丈夫でしょ」と特に気にしませんでした。
こんなやり取りがあってすぐのことでした。うちの事業所から初めてのコロナ陽性者が確認されました。
ほどなくして職員から次々と陽性者や濃厚接触者が確認され、事業所始まって以来の大トラブルに陥りました。
休みを余儀なくされる職員の穴を埋めるべく僕も含め残された者たちで懸命に頑張りました。そして騒動から1ヵ月半ほど経った頃にようやく現場は落ち着きを見せました。
職員たちと「大変だったね」と話していたところ、ある1人のスタッフがボソッと呟きました。
「まさかとは思いますが…市松人形の呪いってことはないですよね?」
実は僕もなんとなく気にはなっていましたが、そんなことはあり得ないと思い込み、あえて市松人形のことには触れていませんでした。
「…い、いやいやいや!そんな呪いなんてあり得ないでしょ!現に今は収まったわけだし!」
「で、ですよね。はは…ははは…」
「うん、そうに決まってるさ。はは…ははは…」
僕たちはそう笑って済ませようとしましたが、ぎこちない笑い声が部屋に響き渡ったのを覚えています。
それから数カ月たったある日のこと。
以前に依頼した同じ業者にまた粗大ゴミを回収してもらいました。
市松人形を処分した時と同じ方でした。手際よく粗大ゴミをトラックに運んでいき、全ての積み込みが終わったころでした。
「あ、そう言えば…」と業者さんが思い出したように話始めました。
「以前に回収した日あったじゃないですか。あの後すぐに車で事故に合ったんですよ」
回収した日の後に事故?
僕はすぐに市松人形のことを思い出しました。
不安になって怪我がなかったかを確認しました。
「特に大きな怪我はなかったんですが、ただ…右腕を強く打っちゃって骨にヒビが入りました(笑)」
参った参ったと笑いながら業者さんは話されて、何事も無かったかのように帰っていきましたが、僕は背筋に冷たいモノが流れていました。
あの時処分した市松人形は確か片腕が取れていました。
業者さんは右腕の骨にヒビが入ったと言っていました。
市松人形のどちらの腕が取れていたかを思い返してみると…
……。
もしまた人形を捨てることがあったのなら絶対に供養しよう、そう心に固く誓ったのでした。
皆さんも人形を処分することがあるのなら、必ず供養されることをおススメいたします。
信じるか信じないかはあなた次第です。
それではまた。
コシ川淳二でした。(やだなー怖いなー)
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