2022 J2第42節 いわてグルージャ盛岡戦 観戦記
今季ホーム最終戦で、吉田達磨監督体制最後の試合となるヴァンフォーレ甲府は前節ザスパクサツ群馬に負け、21位以下が確定したいわてグルージャ盛岡と対戦しました。
1.試合前
この日は甲府駅からシャトルバスで小瀬に行きました。天皇杯優勝を記念して甲府駅ではヴァンくんのパネルに「優勝」と書かれた襷がかけられていたり、駅構内の電光掲示板で「優勝おめでとう」と表示されていたりとお祝いムードがつくられていました。街ゆく人たちの会話の中からも「ヴァンフォーレ」という単語がちらほら聞こえたりしたので、優勝したことによってまちの雰囲気が変わっていることを実感し、優勝したことの山梨県に対する影響力の大きさを再確認しました。
私は12時30分のバスに乗りましたが、そのバスを待つ列も前回(栃木戦)と比べて長く、バスも満員で、J1にいたときのような光景だなと感じました。
バスに乗ること20分、小瀬につきました。ヴァンフォーレパークは今季一番といっていいほど人で溢れていて、天皇杯優勝の効果の大きさを感じました。また、賜杯や天皇杯で使われたボールと一緒に写真撮影することができるブースには長蛇の列が形成されていました。流石に列に並んでいるとキックオフには間に合わないなと思ったので、隙間から撮影しました。小瀬にこの賜杯があるのが感慨深く感じました。
その後、スタジアムグルメを買おうと思いましたが、列が長かったので最初に席を取ってスタグルを買いに行きました。それでもまだ列が長かったですが、列に並んでなんとかお好み焼きを買うことができました。ここまで並んだのも久しぶりではないでしょうか。
今季ホーム最終戦と天皇杯に優勝した影響でスタンドには多くの観客が詰めかけました。メインもバックもそしてゴール裏も端から端まで人で埋まっていて、コロナ禍になって以降、このような光景を見ることはなかったので少し新鮮に感じました。天皇杯決勝後、行われるホーム戦はこれが最初で最後と思うとなんか少し惜しいなと思うほどでした。
2.スタメン
甲府は前節からスタメンを9人入れ替えました。天皇杯決勝を戦った選手がベースとなりました。一方の岩手は前節から7名変更しました。山梨県出身で、甲府ユース出身である加々美選手が右WBに入りました。
3.雑感
立ち上がりは両チームともセーフティーにプレーしていましたが、徐々に甲府がトランジションの早さなどで相手を上回るようになり、ボールを握る時間が増えていきました。相手陣内でボールを動かし、奪われたとしてもすぐ囲い込んで奪い返しマイボールの時間を増やすといった今シーズン取り組んできたことが発揮されていました。
岩手は当初の予想とは異なり、弓削、石井、増田選手で3ボランチを組み、奥山、クリスティアーノ選手で2トップを組む5ー3ー2のフォーメーションで臨んできました。
一方の甲府はいつも通りボール保持時は須貝選手を右にずらす右肩上がりの可変を行いました。甲府としては岩手の3ボランチの脇にスペースがあるのでそこから前進を図ろうとしましたが、岩手の3ボランチのスライドが早く、中に差し込めず、外に追いやられてやり直すというシーンが多くなりました。岩手の2トップはあまりプレッシャーをかけてこなかったので甲府は後ろで余裕を持つことができましたが、後ろからの組み立てで相手を引き出すことができなかったので、スペースがあるときにボールを運んだりするなど相手を引き出す工夫があれば崩しやすくなるのではと思いました。前半は相手のブロックの前でボールを動かす時間が多く、相手の嫌がる攻撃はできなかったのではと思いました。
対する岩手も2トップの奥山選手のスピードやクリスティアーノ選手のパワーを活かした攻撃を行おうとしていましたが、こちらも効果的な攻撃にはつなげられなかった印象がありました。
後半、序盤は岩手が甲府のゴールを脅かそうとする場面がありましたが、次第に前半同様甲府のペースとなりました。甲府は後半の途中から、長谷川選手を左に移し、長谷川、山田、松本選手の3ボランチ、三平、鳥海選手の2トップで5ー3ー2の形に変えました。長谷川選手が一列下がり、フリーでボールを持つことができるようになったので、彼を起点とした攻撃を仕掛ける回数が増えました。そして後半11分に三平選手のパスに反応した鳥海選手がDFを剥がし、シュートを決め、先制に成功します。
後半に入ると、前半ボールを動かされて疲労がたまったのか岩手の3ボランチの強度が下がり、サイドから中央に差し込むボールが通りやすくなりました。すると岩手も3ボランチの両サイドを替えます。しかし、甲府の時間は続き、後半21分に右サイドのにアゾーンを取ると、クロスに荒木選手が合わせ追加点を取ります。甲府としては今シーズン追加点が取れず勝ちきれない試合が多かっただけに大きな一点となりました。
その後、岩手が取り返そうと前掛かりになりますが、その裏を突くような攻撃を甲府がみせます。途中から入ったリラ選手のパワーや松本選手の落ちない守備での強度が目立つ展開となり、チャンスもいくつか作りましたが岩手のGK野澤選手に阻まれます。そして、後半45分に今季で引退となる野澤英之選手などを投入し、試合を締め、2連勝で今季を終了しました。
4.試合後
試合後は今季ホーム最終戦ということでセレモニーが開かれました。選手・スタッフが準備している間、今季を振り替える映像が流れ、その後、佐久間社長、吉田監督、そして荒木キャプテンが今シーズンの挨拶をしました。荒木選手の挨拶からはチームへの想いとともに山梨県のためにという想いが伝わってきました。チームのためにみたいなことを言ってくれる選手は多いですが、山梨県全体に対する想いを述べる選手は荒木選手が(私の記憶の中では)初めてだったので嬉しく思い、同時に荒木選手とともに来年は昇格したいなと思うようになりました。
その後、選手が場内を一周しました。ゴール裏までたどり着くと、天皇杯優勝へ導いた吉田達磨監督や今季限りで引退となる野澤英之選手を胴上げしたりしていました。リーグ戦の結果だけみれば18位と上手くいかなかったシーズンですが、昇格を目標にしていながら下位で終わったチームのそれとは思えないくらいほのぼのとした雰囲気でシーズンを終えることができました。
最後はアカデミーの選手達も含めた全員で記念撮影をして終わりました。
帰りも同様に甲府駅までシャトルバスで行きました。甲府駅に着いた頃には辺りもすっかりと暗くなっていました。そこから特急に乗って帰りました。栃木戦の時は座れませんでしたが、今回はしっかり座れました。
5.あとがき
9000人以上が見守る最高の雰囲気の中、岩手に2ー0で完勝し、2連勝でシーズンを締めくくりました。トランジションの早さやボールの動かし方などシーズンを通して積み上げてきたものが発揮され、それになかなか付いてこなかった結果が付いてきたので嬉しかったです。内容・結果ともかみ合った今シーズンベストゲームだったと思います。また、声出し応援が解禁されて以来初めてのホームでの勝利となりました。ホームでサポーターの声を受けて勝利することができたのも良かったなと思いました。このような試合がもっと前からできていれば昇格争いに絡めたのになと思いましたが、そこが来季への課題となるのかなと思いました。
今シーズンはこれで終了となります。今季私はリーグ戦25試合、天皇杯2試合、計27試合観戦に行きました。今年はあまり見に行けなくなるかもと思っていましたが、半数以上の試合を現地で観戦することができました。山あり谷ありでジェットコースターのようなシーズンでしたが、天皇杯優勝といったなかなか味わえない感動を味わうことができ、なんだかんだで楽しかったシーズンだったなと思いました。これで今シーズン終了となると、やはり寂しいですし、もっとこのチームの試合を見たかったなという名残惜しさも感じます。個人的には二度と忘れることができないシーズンになったのかなと思いました。
来年はリーグ戦に加え、クラブ史上初となるACLに参戦します。来季は確実に今年ほど参戦できないと思いますし、特に前半戦はなかなか行けないと思いますが、甲府を応援する気持ちは変わらず持ち続けたいなと思います。また、ACLは9月からスタートするとのことなので、海外で甲府の試合を観るなんて滅多にない機会だと思うのでなんとかして行きたいなと思います。個人的には初めての海外がヴァンフォーレ甲府の試合になるかもしれないと思うとなんか不思議な気持ちになります。
最後に拙い文章でしたが読んでくださった方には感謝しかありません。ありがとうございました。