2022 天皇杯 決勝 サンフレッチェ広島戦 観戦記(前編)
鹿島に勝利し、クラブ史上初の決勝進出を決めたヴァンフォーレ甲府は6度目の決勝で初の優勝を目指すサンフレッチェ広島と対戦しました。
1.試合前
前日からシート張りが行われ、当日にもかなり多くの人が訪れるという報道もあったため、朝早くに家を出てスタジアムを目指しました。行きは在来線で新横浜駅まで行き、そこから徒歩でスタジアムへ向かいました。
歩くこと約15分で日産スタジアムに到着しました。到着したのは10時30分とキックオフまで3時間以上ありましたが既に多くの人がスタジアムに詰めかけていました。甲府の試合でこんなに多くの人が訪れる試合は滅多にないのでこれが天皇杯の決勝なのかと感心しました。場外ではキックターゲットなど様々なイベントが行われており、どこかお祭りみたいな雰囲気を感じました。
開門の時刻も迫ってきたので待機列に並ぼうとしました。待機列には見たこともない数の人が並んでいて、最後尾がなかなか見えず、やっと最後尾に付いた頃には半周歩いていました。
列に並び、お腹がすいたので場外で買った角煮まんじゅうを食べました。角煮まんじゅうの店が出店すると聞いて食べたいと思ったので、食べることができてよかったです。
開門時刻が過ぎてもなかなか列が動かなかったため、入場するのにかなり時間がかかるのかなと思っていましたが、徐々に列が動くようになり、開門から30分くらいでスタジアムに入場することができました。かなり時間がかかるのかなと思っていただけに、予想より早く入場することができてほっとしました。
スタジアムに入り、席を取りました。日産スタジアムは専用スタジアムではないのでピッチとの距離は遠いですが、傾斜や高さがあり、全体を見渡せるので、思っていたより観やすいなと思いました。
スタジアムの中にも売店があったので、そこでスタジアムグルメを買いました。今回買ったのはチャーシュー丼でした。再入場ができなかったので、場内にも売店があったのはありがたかったです。
キックオフまでかなり時間があったのでスタジアムのコンコースをうろうろと探索していました。すると、天皇杯が展示されていたので写真を撮ることにしました。私の前にも写真を撮ろうとする人がたくさんいましたが、身長を活かして(?)なんとか写真に収めることができました。天皇杯を間近で見て、これを掲げるところを見たいと思いました。
その後は席に戻り、キックオフを待ちました。その間に海上自衛隊の音楽隊による演奏が行われていました。今話題のアニメの主題歌などが演奏されていました。最後に演奏された曲がサンフレッチェ広島のチャントに採用されている曲で「やってんな~」と思いましたが、自衛隊の音楽隊の演奏を聴ける機会は滅多にないのでこれも決勝ならではだなと思いました。
そしてアップが始まりました。両チームのゴール裏とも気合いの入った応援をしていましたが、甲府のゴール裏は中心部だけでなく、端にいる人も跳びはねて応援していて今日に賭ける思いの大きさを感じました。また、橋爪アンバサダーがゴール裏を煽るような声かけを行っていて、クラブが一体となってこの一戦に挑もうとしていることを再確認させられました。
アップが終わり、いよいよ選手入場となりました。入場前には和太鼓による演奏やそれに合わせて両チームの旗が振られる演出もあり、いよいよ決勝だなという高揚感が高まっていきました。そして圧巻だったのが「頂上決戦」と書かれた幕がピッチ上にばっと敷かれたことでした。「すげぇ~!」と感じ、思わず鳥肌が立ちました。
選手が入場し、国歌斉唱が行われました。ヴァンフォーレ甲府の試合で国歌斉唱が行われるなんて夢のような気分でした。そして両チームの選手がピッチに散り、開始を告げるホイッスルが鳴りました。
2.スタメン
栄えある決勝に臨む両チームのスタメンはこのようになりました。甲府は準決勝の鹿島戦から1人変更し、鹿島戦で決勝点をあげたものの練習で負傷した宮崎選手に替わり、鳥海選手が入りました。一方の広島も準決勝の京都戦から1人変更し、野上選手に替わり、塩谷選手が入りました。昨季まで甲府に在籍していた野津田選手をはじめ、柏選手や佐々木選手といった甲府に縁のある選手が3人スタメンを飾りました。
3.雑感(1)
キックオフ直後は決勝戦ということもあり、ロングボールが行き来する展開が続きましたが、次第に広島がペースを握っていきました。広島のボール保持時はWBが高い位置を取り、後ろ3枚とボランチ2枚で組み立てる形でした。それに対して甲府は同じフォーメーションということもあり、対面の相手に対してプレッシャーをかけていきました。広島からは甲府のWBの裏(特に荒木選手の裏)にシャドーの選手が走り込んで起点を作りたいという意図が感じられましたが、マンシャ選手と須貝選手が体を張って対応し、起点を作らせませんでした。
警戒していた序盤の15分を凌ぐと甲府にチャンスが訪れます。前半16分に長谷川選手が抜け出しシュートを放つものの、キーパーに止められてしまいます。しかし、そこから甲府がボールを持てる時間が増えていきました。甲府のボール保持時、いつもは繋いでビルドアップをしますが、この試合ではロングボールを蹴る回数が多かったです。しかし、前線にボールを入れて跳ね返ったこぼれ球を中盤の選手が回収することができていたので、押し込むことができました。このようにJ1の強度に対しても負けることなくむしろ上回ることができていたと思いました。ボールを拾った後の組み立てでもライン間に立っている選手を使ったりと相手を動かそうとしていましたが、広島の守備を崩すまでには至りませんでした。
そして迎えた前半26分、ショートコーナーからポケットに進入した荒木選手にボールが渡ると、荒木選手がマイナスへ折り返し、最後は三平選手が合わせて先制に成功します。今シーズンはセットプレーからあまり点が取れていなかっただけに大一番で仕込んできたものが実って嬉しかったです。崩しもイメージ通りに決まったと思います。一方の広島からすると対応が甘かったのではと思いました。甲府がショートコーナーをするのは前節の岡山戦から予見することができたと思いますが、このシーンでは3対2の状況を作られてしまっていたのでそこへの対応に悔いが残る形となってしまったのかなと感じました。
甲府が先制に成功したことで広島がボールを持ち、甲府がカウンターを狙うという構図になりました。甲府も引いて守るのではなく、広島のボール保持者に対してしっかりプレッシャーをかけ、サイドに追い込んで挟んで奪い取ろうとする守備ができていました。一方の広島はボールを持てていましたが、背後への動きが少なく、甲府の守備の前でプレーする回数が多かったので、甲府としてはそこまでストレスがかかってなかったのではと思いました。広島は相手がボールを持っているときに前線からプレッシャーをかけて奪ってショートカウンターという形を得意としていると思いますが、ボールを持たされる構図となり、苦労したのではないかと思いました。逆に甲府としては広島の良さを引き出さないためにロングボールを使っていたのかなと思いました。こうして広島にチャンスを作らせず、甲府リードで前半を終了しました。
(後編へつづく・・・)