許される時間は平等ではない – 誰も教えてくれない残酷な真実
はじめに
今回は誰も教えてくれない残酷な真実についてお話しします。私たちに与えられている時間は、実はかなり少ないという話です。これは人生の時間が短いという話ではなく、何者でもない人に許される時間はほとんどないという話です。これはキングコングの西野亮廣さんが以前Voicyで言っていた話で、過去の私もめちゃくちゃ当てはまっていたある勘違いについてお話ししていました。そして、私以外でも同じ勘違いをしてしまっている人がかなりいると思います。
今回の内容は、これから何者かになりたい人、自分を知ってもらいたい人、人間関係を良くしたい人にとって絶対に知っておかないといけないことなのに、誰も教えてくれない1つの致命的なミスがあるという内容です。誰も教えてくれないからこそ、このミスに気づけない人がいます。どれだけ全力でやっても、この認識のままやってしまった場合、相手からの反応は微妙なものを超えることがありません。
では、その間違った誤解とは何なのか、私の実体験を踏まえて解説していきます。
自分の話を無条件に最後まで聞いてくれるという誤解
いつか何者かになりたい。この記事を読むような高い目標を持つ方はもちろん、生きている以上何者かになりたいと思ったことがある人は多いと思います。仮に現時点で別に何者かになりたくなくても、自分をアピールする場、何かを発表する時間というのは必ずやってきます。ですが、ほとんどの人はそういう時にある致命的な誤解をしてしまっています。それは、自分の話は無条件に最後まで聞いてくれるという誤解です。
「自分の話はみんな最後まで聞いてくれる、ちゃんと話せば評価してもらえる」と考えると、ほぼ確実に失敗します。なぜなら、ほとんどの人は私たちが情熱を持って長々と話したとしても、ほぼ聞いていないからです。私たちが一生懸命話していても、どれだけ有益なことを話していても、最初の数十秒が面白くないとあなたの話は聞いてもらえません。そこを誤解している人が多すぎるのです。
例えば、10分間あなたに枠が設けられて何かを話してくださいと言われたとします。ここで多くの人は10分間フルに使って話を作ろうとします。最初の1分間で自己紹介をして、自己紹介の次はこれを説明して…こう考えると思います。これが間違いです。プレゼンやSNSでの発信、自分に興味を持ってもらうための話をする時、決められた枠(10分なら10分)の全ての人が最後まで聞いてくれると私たちはつい信じてしまいます。しかし、現実はそうではありません。最初の数十秒で面白くなければ、その後の話は聞いてもらえないのです。最後にいくら面白いオチを用意しても、相手は聞いていないので反応も良くないのです。
最初の数秒で相手の心を掴む
よくある悪い例だと、プレゼンや自分をアピールする場、SNSでの発信を始めた人がよくやっているミスがあります。最初に自分の自己紹介、「生まれはここで、何人兄弟で、〇〇に所属していて…」こういう話を2、3分してから本題に入る人。このスタートをした瞬間、終わりです。「あ、もうつまらないな」と思われてしまいます。大多数の人にとって、何者でもない人の出身や人生なんて興味がない、どうでもいいことなんです。
人間はどこまで言っても感情の生き物です。最初でつまらないという感情が出てしまったら、その後の話は全部つまらないという感想になってしまいます。「この人の話つまらないけど、構成が気になるから最後まで聞いちゃおう」、そんな人はいないです。人に何かを話す時というのは、加点方式です。最初の10秒が面白いと思われたら次は20秒聞いてもらえる。次の20秒も面白かったら、その次は1分間聞いてもらえる。内容に応じて許される時間が追加されていきます。これが正しいイメージです。
皆さんが思う面白い話、興味深い話、有益な話を1つ思い出してみてください。大体、冒頭の掴みがいいはずです。分かりやすいのがM1の決勝です。優勝するような漫才は最初の登場、一言目からもう面白い。冒頭の掴みで一気に観客を引き込んでいきます。
許される時間は平等ではない
残酷な真実ですが、人によってこの最初の許される時間、これは平等ではありません。何者でもない人間に、これまでの人生とか自己紹介とか、そういう時間は許されていないのです。すでに何者かである人は、その人自身に興味がある人がたくさんいるので、与えられる時間は当然多いです。イーロン・マスクがこれまでの人生を語ってくれるなら、めちゃくちゃ聞きたいですよね。でも、そこら辺にいる大学生のこれまでの人生、誰も興味がないですよね。相手が興味ないことを延々と話しても、一生懸命話しても、それは耳を通り抜けるだけです。
多くの学校の校長先生の話がなぜつまらないのか、それは最初がつまらないからです。つまらない挨拶から始まって、特に予想を裏切る発言もしない、普通のことをただ言っているだけだからです。相手に興味が持たれていない部分を最初に持ってくるのは、本当に良くないです。
だから、ビジネスの場では結論から話せということが死ぬほど言われているのです。どうして結論から話すとよく言われるのか。それは優秀な人ほど、最初に肝心の部分を言わないと相手の心を掴めないと知っているからです。相手の心を最初に掴まなければ、相手はその話全体を聞く気にならない。結果、どれだけいい話をしても「話が長い、まとまっていない」と判断されてしまうことを彼らは知っています。
言われてみれば当たり前のように思いますが、私たちは自分の話になるとついこの加点方式というルールを忘れてしまうのです。
どこに力を注ぐべきか
何かをアピールしたい、自分に興味を持ってもらいたいと思うなら、私たちに与えられている時間なんてほとんどない。どんなに長くても1分くらいということを私たちは認識しないといけません。なぜこの認識が大切なのか。それは、この認識が結果に直結する本当に大切な要素だからです。
実際、過去の私がこの致命的なミスにどっぷりはまっていました。私も長い間、自分の話はみんな最後まで聞いてくれるという勘違いをしていました。その結果、長い時間結果が出ずにかなり苦しみました。
TikTokを使ったことがある人なら分かると思いますが、興味がなかったらすぐ画面をスワイプして次に行きますよね。つまり、長くても1分、短かったら2秒もないわけです。最初の2秒で興味を引かなければ、例え何時間作った動画でもすぐ次に行かれる。これが現実です。
私はYOUTUBE台本作家として活動していますが、当初ここを勘違いしていました。
本来、私がやるべきことはこの最初の2秒間に全てをかけることですが、最初の頃の私は「話が面白ければ聞いてもらえる」という勘違いをして、10秒ちょっとかけて自己紹介やら背景知識やらを説明していました。当然、そんなやり方では伸びませんでした。伸びなくて当たり前です。だって、よく分からないクエスチョンマークのロゴの人間が急に自己紹介を始めたところで、誰も興味がないわけです。
そこから私は、最初の2秒間、この2秒間でどれだけ相手の心を引きつけられるかということに全ての力を注ぎました。結果的にそれが記事がバズる要因になりました。それほどファーストコンタクトには気をつけなければならないのです。最初に結論を言わなければ、本題に入らなければ、相手に「ん?」と思わせることができなければ、一瞬で読んでもらえなくなります。現実の世界はTikTokとは違うので、2秒よりは長い時間を与えられると思いますが、それでも30秒、どんなに長くても1分以内だと思います。
私の場合、今はありがたいことに記事を投稿すればある程度読んでもらえる読者さんがいますが、それでもファーストコンタクト。Noteで言うと、最初に目に入るのはタイトルです。これを見せると露骨に閲覧数に反映されます。これは私だけでなく、多分全てのインフルエンサーに通じるものだと思います。人気ブロガーのチャンネルに行ってみれば分かると思いますが、タイトルや見出しのデザインをサボったり、少しでも見づらかったりすると、どんなに登録者が多いチャンネルでも閲覧数が半減したりする。そういうことが平気で起きます。インフルエンサーですらそうなら、私たちはもっと考えなければいけない。M1の決勝に出るような一流の漫才師の方ですら、最初の数秒に命をかけているのに、現時点で何者でもない私たちが数分間も無条件に話を聞いてもらえる、そんな甘い話はありません。もっと最初に何を言うか、どうやって引きつけるかということを思考しなければいけません。
相手本位で考える
人を数秒で引きつけるコツを1つ教えるなら、相手本位で考えるということです。自分が喋りたいことではなく、相手が何を聞いたら興味を持ってくれるかというのをひたすら考えて話し始めるというのがコツです。話がつまらない人ほど「私はこれを話したい、私はこの順序で話したい、私はこういう人生をやってきた…」私、私、私、全て自分本位なんです。そうではなくて、相手がこの話で何を求めているのか、何に興味があるのか、これを意識して話すだけで相手から興味を持ってもらえます。これはプレゼンや発信だけでなく、普段の会話や人間関係全てで使えるマインドセットです。確実に脳に刻んでください。
散々面白い話し方について話してきましたが、この記事で私が言いたいことは「面白い話をしろよ」ということではありません。面白い話をするように心がけることも大切です。ただ、この話の本質は話し方の方ではなくて「許される時間は平等ではない」の方です。そして、今どれだけすごい人でも、最初は許される時間は少なかった。最初から30分の枠をもらっている人なんて存在しないということです。ホリエモンもスティーブ・ジョブズもイーロン・マスクも、何者でもない時はプレゼン時間など与えられなかった。ですが、結果を出して何者かになった、影響力をつけた。そうなって初めて30分でも1時間でも話しても許される価値のある人になった、こういうことです。
自分が今どの位置にいて、どれだけの時間が与えられているのか、そしてどこに力を注ぐべきなのか。この本質を理解する人としない人では目に見えて差が出ます。これを理解している人は正しい場所に力を投下することができ、最小の努力で最大の結果を出すことができる。逆にこれを理解していないと、過去の私のように「最後のオチを面白くすれば必ずうまくいく」とか、そういう勘違いをすることになります。開始2秒でほとんど離脱しているのに、最後の数秒のオチに命をかけている。めちゃくちゃ馬鹿らしいとは思いませんか。まさに無駄な努力です。
無駄な努力を続けると結果が出ない。結果が出ないと人間は挫折してしまいます。運よく私は途中で気づけたので修正することができましたが、私以外の人でこれに気づけず、実力があっても努力をやめてしまう人がいます。本当にもったいないなと思います。そういう人は自分に許されている時間を認識して、どこに全集中するべきかを意識するだけで、一気に結果が出始めると思います。
今回の記事いかがだったでしょうか。書いている時にふと思ったのが、世間では「時間は平等に与えられる」と言われているけど、「許される時間」というのは平等ではないなということです。同じ24時間という時間でも、起きている16時間フルでやりたいことに集中できる人と、やりたくないけどやらなきゃいけない仕事やタスクでパンパンになって結局1時間しかやる時間が許されていない人。同じ24時間が与えられても、やっぱりそこで差ができちゃいますよね。だからこそ、その限られた時間にどれだけ集中できるか、何をするのかという選択がすごく重要になってくると改めて思いました。ちょっと抽象的で難しい話なんですけど、そういう感じです。