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知ってる?ママン No.73"僕にできることとは"
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その日もいつもと同じように仕事を終えて帰ろうとしたその時、携帯に電話が入った。
この番号は・・・あの人だ・・・。このところ担当している方なのだが言うことがコロコロ変わりそのたびに変更をかけなくてはいかず・・・この日も同じでその方のおうちに出向くことになった・・・。
そして話を聞き、変更をかけて家に帰ろうと連絡を入れた。
「今日はカレーだからね。待っているね。」とみきさん。大好きなカレーにウキウキして家路に急ぐ。
車を走らせしばらくすると・・・再びみきさんからの電話が。車を止めて電話に出ると声の主は次女ちゃん。
「パパァ、大変だよ、六女ちゃんが・・・・六女ちゃんが溺れちゃって・・・今、みんなで一生懸命助けようとしているんだけど・・・救急も呼んで・・・どうしたらいい・・・パパ・・・。」
「えっ?六女ちゃんがおぼれたの?何があったの?とにかく落ち着いて。パパは搬送先に向かうから病院が決まったら教えてね。」
電話を切り深呼吸。
なんで?なにがあったんだ?どうして誰も見ていなかったんだ、目を離したんだ?みんな見ていなかったのか?みきさんは?何をしていた?俺は・・・なんでクレーム対応なんかにいっていたんだ?なんで育休をやめちゃったんだ俺は・・・。
状況を受け止めたくない気持ちで何かを攻める気持ちでいっぱいだった。
再び電話が鳴った。「ごめんなさい。私がしっかりしてしていなかったから、ごめんなさい、ごめんなさい、さとしくん・・・本当にごめんなさい。」みきさんの声は明らかに混乱していた。
「誰のせいでもない。落ち着いて。誰も悪くないよ。大丈夫、僕はすぐに病院に向かうから」と告げた
電話を長女ちゃんが引き継ぎ搬送先を教えてもらった。みきさんがパニックになっているため三男君が付き添って行ったらしい。
僕は何とも言えない気持ちで車を走らせた。さっきのみきさんの様子だと他の子どもたちも同じように感じているはず。
あの場所にいなかった僕は・・・僕の役割があるはずだ。あの場所にいることの出来なかった僕だからこその役割・・・。一生懸命それを探していた。
救急車よりも先に搬送される予定の病院にたどり着いた。
そこでずっと考え続けていた。責めることは何も生まない・・・悲しみが増すだけだ。僕が誰かのことを責めたらたぶんその存在はその重しに耐えられなくなるだろう・・・。絶対に言うまい・・・。と固く心に誓った。
そして・・・そこに救急車が到着した六女ちゃんは人工呼吸器と心臓マッサージを施されている。ダラーンとしたままの六女ちゃんは暗闇の中でもいつもと違うのはわかった。
救急車から三男君も降りてきた。悲壮感満載だった。
処置をするのでこちらでお待ちください。先生たちは慌ただしく六女ちゃんを処置室に連れて行った。
待合室の椅子に座り販売機で買った飲み物を手渡した。
三男君はその飲み物を飲みながら堰を切ったかのように話し出した。救急車の中で起きたこと。そもそも、ママが寝かしつけて帰ってきたときに六女ちゃんをお迎えにいき、お昼寝から起こしてしまったから僕のせいでこんなことになってしまった・・・。と言い続けていた。
「そこにいた誰のせいでもない。起きたことだけの事象なんだから・・・。信じよう、六女ちゃんの力を」
あとから来たみきさんも長女ちゃんもみんなそれぞれ同じように自分を責めていた。そのたびに今と同じ言葉を伝え続けた・・・。それが僕にできるたった一つのことだった。
次につづく・・・
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