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七回目の「明日を唸る」

今週金曜日に迫ってまいりました、今年最後の「明日を唸る」です。

この浪曲会は私港家小そめと富士綾那さん、曲師の沢村博喜さんの三人で企画している会です。
「明日を唸る」というタイトルは博喜さんがつけました。明日に向かうような浪曲を!という青春ぽい名前です。

大体隔月くらいの頻度で浪曲三席、交代でどちらか一人が二席を唸ります。たまにイレギュラーな企画(例えば同じ演目を二人でなど)やったりしております。
前回は綾那さんが二席だったので、今回は私が二席の番です。
毎回なんとなくこんな感じでというテーマを自分の中で決めたり、綾那さんと合わせたりしておりますが、今回私の方は義士伝二席に決めました。

浪曲といえば、義士伝、忠臣蔵と言われる位浪曲では義士伝がたくさんあります。私の師匠五代目港家小柳も義士伝を多く持っていて、多分持ちネタのジャンルで一番多いのも義士伝ではないかと思います。

昔は年末の時代劇で必ず忠臣蔵があったり、大河ドラマにもなったり、一般的に知ってる人が多かったのですが、最近は時代劇を日常で観る機会も減り、忠義だ義理だといっても「???」という人も多いのではないかと思います。
そろそろ大河で取り上げてくれればやりやすいのに〜と思ったりしております。

最近ではそんな感じの義士伝ですが、私は義士伝が好きです。忠義や義理というところではなく、そこに別れの物語があるからではないかと思います。人と人の別れというのは感情を大きく揺さぶられる出来事だと思います。そういう部分が浪曲には良く合う。
なので年末が近くなるとかけたくなります。

今回の演目は「足軽出世美談」「神崎与五郎東下り」です。
「足軽出世美談」は講談では「荒川十太夫」というタイトルでかけられる話です。
私も以前神田松鯉先生の講談でお聞きしたことがあり、震える程感動したの覚えております。

討ち入り後、堀部安兵衛が切腹の際、介錯したのが荒川十太夫で、その十太夫が話の主人公です。
演目記録を調べたら去年の12月以来かけておりませんでした。なかなか義士伝もかける機会がないと間が空きます。

もう一席の「神崎与五郎東下り」は神崎与五郎が江戸へ向かう途中の箱根で出会った丑五郎という馬方との話です。忠臣蔵でも有名なエピソードのひとつ。
タイトルは神崎与五郎ですが、この話の主役は丑五郎。師匠の録音を聞くと丑五郎が大変魅力的で可愛らしい。なかなかそんな風にはできませんが、少しでも近づきたいとかける度に念じつつ。

この二作に共通するのは、主従でも家族でも友人でもない関係ながら、赤穂浪士と関わったことで人生が変わった人たちの物語というところでしょうか。

今回ご予約が大変少なく…逆に清々しい気分になる程です…(^_^;)
もしお時間ございましたら、ご来場いただけましたら幸いです。富士綾那さんの一席もお楽しみに!よろしくお願い申し上げます。

第七回兜町浪曲会「明日を唸る」
11月22日(金)19時開演
予約1800 当日2000

会場:アートスペース兜座
https://kabutoza.com
(中央区日本橋兜町11-10兜町中央ビル5階和室)

出演:港家小そめ 富士綾那 
三味線:沢村博喜
ご予約・問 ten5560@gmail.com

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