![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/164379039/rectangle_large_type_2_c4d9425eccaab4fae471c6dc8d32b231.png?width=1200)
第4回:なぜ「新築以外」で100万円得をするのか ~不動産のプロが、築3-7年の物件を狙う理由~
「新築です。家賃13.8万円になります」
「こちらが築4年。11.2万円ですね」
都内有数のタワーマンションが立ち並ぶエリア。不動産屋の店頭で、二つの物件写真を見比べていた30代の夫婦が、思わず目を疑いました。
間取りは同じ2LDK、65平米。 最寄り駅からの距離もほぼ変わらない。 設備のグレードも同等。
それなのに、月額家賃で2.6万円の差。 さらに初期費用を確認すると、その差は33万円以上に膨らみます。
なぜ、これほどまでの差が生まれるのでしょうか。
「これは、業界の構造的な問題なんです」
都内で年間300件以上の契約実績を持つ田中さん(仮名・48歳)は、意味深な表情でこう続けました。
「新築の価格設定には、ある『仕組み』が隠れています。この仕組みを理解していないばかりに、多くの方が必要以上の出費を強いられているんです」
その「仕組み」を理解するために、まずはこのグラフをご覧ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1733282845-LBJ7v0SOi2mdFqATwg1bYrDu.png?width=1200)
築年数と家賃の関係を示したこの曲線。 なぜ、新築は相場より15-20%も高く設定されているのでしょうか。 そして、なぜ築4年程度で急激に家賃が下がっていくのでしょうか。
この疑問の答えが、不動産業界に潜む「新築プレミアム」の正体です。
第1章:新築プレミアムの正体
「新築物件の価格設定には、3つの『上乗せ要因』が組み込まれています」
田中さんは、新築物件の家賃の仕組みを詳しく解説してくれました。
一つ目は「広告宣伝費の回収分」。
豪華なパンフレット、モデルルーム、Web広告、内覧会。新築物件の販促費用は想像以上に高額です。これらの費用は最初の1-2年の家賃に上乗せされます。1室あたりの広告宣伝費は、都心部の物件で平均100万円以上とも言われています。
二つ目は「一斉募集による相場操作」。
新築物件では一度に大量の空室が発生します。つまり、一つのエリアに同じ条件の部屋が複数出てくるのです。これにより、不動産会社は意図的に相場より高めの価格設定が可能になります。
「例えば、あるタワーマンションでは、同じフロアの10室が一斉に募集開始。すべて相場より15%高い家賃設定でしたが、3ヶ月で完全満室になりました」と田中さん。
そして三つ目が「新築という言葉のブランド価値」。
新築物件には「新しい」「誰も住んでいない」という心理的価値が付加されます。この価値に対して、15-20%の上乗せが業界の常識として許容されているのです。
「しかし」と田中さんは続けます。
「このプレミアムには、明確な『賞味期限』があります」
グラフをご覧ください。新築時に115-120%だった家賃は、築2年で105%程度まで下落。築4年でほぼ相場並みとなり、その後はむしろ相場を下回っていきます。
「つまり、新築プレミアムは『期限付きの泡』のようなもの。2-3年で自然と消えていくんです」
なぜ、このような価格変動が起きるのでしょうか。
「オーナー側の事情も大きいんです」
大手デベロッパーで10年以上マンション管理に携わってきた佐藤さん(仮名・52歳)は、家主の本音を教えてくれました。
新築時: 「とにかく早期に満室にしたい。ローンも始まったばかりで、空室を抱えるリスクは避けたい」
築2-3年: 「入居者の入れ替わりが出始める。でも新築プレミアムはまだ効く」
築4-5年: 「新築のブランド価値は消失。物件の実力だけで勝負しないといけない」
「この変化は、マンション管理の現場では当たり前の流れなんです」と佐藤さん。
実際のデータを見ても、その傾向は明らかです。
あるタワーマンションの2LDK(65平米)の例
新築時(2019年):13.8万円
築2年目(2021年):12.9万円
築4年目(2023年):11.2万円
「注目すべきは、4年目の家賃がむしろ相場に近いということ。つまり、新築時の家賃が『不自然に高かった』と見るべきなんです」
第2章:見過ごされている事実
先日、あるメッセージが届きました。これは、この事実を知って物件選びに成功した方からの報告です。
![](https://assets.st-note.com/img/1733282923-EGNRoMglTK8eWdibUrp230Zc.png)
このメッセージには、新築プレミアムという「上乗せ分」の存在に気づき、その知識を活かして交渉に成功した様子が表れています。
「でもここで、疑問が生まれるはずです」と田中さん。
「なぜ不動産会社は、新築物件を積極的に勧めるのでしょうか」
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?