ユーチューバーさんの動画を撮った話
二つ返事で仕事をうける
20年来の友人から動画撮影の依頼をうけた。
「海辺で対談するっていう動画の撮影と簡単な編集なんだけど、やってもらえないかな?」
あ、もちろんいいよ。
その友達には個人的に色々お世話になっているし、時間もあったので二つ返事で引き受けることにした。
事前に「こんな感じにしてほしい」というサンプル動画が送られてきたけど、オズモかGoProで撮ったような映像で、まあ問題なくできるよな、という内容だった。
しかしそれは間違いだった。
あとで色々と反省することになりました。
完成した動画がこれ↓
海での撮影するための準備
海はとにかく光がまぶしい。
ただ、太陽が雲にさえぎられたり、山にかくれたり、急に暗くなったりすることもあるので可変NDは必要だ。
海辺ということで風もボーボー吹いているだろうからピンマイクの風防も必要だろう。
ということでカメラと三脚、音声ミキサー、ワイヤレスマイクにピンマイクの風防、その程度の機材を持っていくことにした。
ピンマイクに直接取り付けた風防。これがあるとないとじゃ大きく違う。
現場に着いて知った「え?YouTube動画?」
もっと自分もしっかり撮影内容を聞いておくべきだった。
今日の撮影がただの簡単な対談ではなく、しっかりとした「ロケ」だという事に気づいたのは、先方の担当者さんと打ち合わせをしてから間もなくのことだった。
先方の担当者さんはまだ若い30代前半くらいの方で、動画撮影の仕事は「初めて」とのこと。撮影内容はすでに決まっていて、ロケ現場で下見を兼ねて話を淡々と聞いた。撮影の中身に特に理解できない所もないし、演出に関してはこちらが口をはさむことではないので、まあなんとかなるでしょう、という感じで打ち合わせを終えた。
そこが自分の「甘い」ところだった。
たけだバーベキューさん、登場
しばらくしてこの動画の主役である「たけだバーベキュー」さんという吉本興業所属のユーチューバーが現れた。この方が今日の主役だ。
この時点では僕はよくわかっていなかったが、この方を「ユーチューバー」という肩書に落としてしまって、ろくに調べずに撮影に及んだ自分に後悔している。
実際にはキャンプ道具やキャンプ飯に特化した動画をたくさんあげている芸人で、他の芸人をゲストに呼んでの動画はとても面白く見ることができる。なによりも、ゲストの方々の人間性を垣間見ることができて、バラエティ番組のように押し付けられるような面白さとは全然違う面白さがあった。僕は普段テレビを全くというほどみない。
今回の動画はたけだバーベキューさんとLNESという会社のコラボ企画。撮影直前に、担当者さんから「今日はこんな撮影になります」という説明があった。それを聞いたたけだバーベキューさんは一瞬顔をくもらせ、大きな良く通る声で「その内容では自分がなぜここに来たのかの必然性を感じない」という趣旨の事を話し始めた。確かにそのとおりだ。
たけだバーベキューさんは、「もっとこうこう、こうしましょう!」という感じでその場で話の方向性をまとめ、おそらくは自分が一番やりやすく、かつ残された選択肢として一番面白いものを目指す、ということで場をひとつにまとめあげた。実際に彼はひとりで「たけだバーベキュー」という看板をしょっている。その名前で映像に出演する以上、手をぬいたつまらないものはつくれない。
自分の撮影スタイル
ということで、僕の撮影への責任はとたんにあがった。
ただの「簡単な対談」だと思ってたら、芸人さんが登場するガチのロケのようになってきたのだ。しかもディレクターはいない。僕がカメラをまわしながら、音声のこともやって(現場では本件を振ってくれた友人に音声を担当してもらったが、彼は音声のプロではない)、そしてディレクター的な動きもする。
プロの芸人を撮影するのに素人みたいな撮影はできない。
使うカメラはパナソニックのミラーレスカメラだったが、ビデオカメラのようにできるだけ寄ってみたり、普段はやらない撮影をした。
しかしこれは元々自分がやってきたことなのかもしれない、と思った。
自分はこれまでの映像制作の仕事で特定の分野をどれひとつ極めてきてはいないが、あれもこれも色々な経験はしている。企業PVやMVの撮影、クビになったがTV情報番組や旅番組のディレクターもやっていた。
いいか悪いかは別にして、その場でなんとか乗り切る、というのはある意味自分のスタイルだ。
結果的に撮影は無事に終わり、若い担当者さんからも大いに感謝された。
やったことのない編集スタイル
撮影は無事にすんだが、実は編集こそが大事である!
余分なところをバンバン切り落として、結論を早くみせる。
そしてテロップをばんばん入れる。
テロップを入れることはTVのディレクターをしていた時に多少は学んだが、なにせそこに思い入れも興味もないので、自分は上手ではない。
なので、たけだバーベキューさんや彼が出演している他の芸人のYouTube動画を観て、それを真似るようにして作った。
納品は担当者さんとたけだバーベキューさん本人のチェックが入ったが、ほぼ一発でOKだった。
数をこなしてこそのYouTube動画
今回はとてもいい経験だったと思う。そして反省もあった。
事前にもっと出演者の動画をみておけば、もっと話もはずんで撮影で活かせたかもしれない。少人数で撮影していく上で、みんなの親密性はあった方がいい。
予算的にはこの仕事は撮影1日、編集1日、+なおし、というのが望ましい所だ。しかし実際には撮影こそ一日だったが、編集には時間がかかった。
特に他のYouTube動画を観ての研究や、テロップを作る作業。
次回、同じような仕事があれば、もっと速く納品ができるようにしたい。
YouTube動画はスピードが命だ。質よりも量。だけどやっぱり質もいいもの。
プロとしてお金をもらう上ではとても大切なことだ。
YouTube動画の撮影依頼はこちらへ➡https://vgm-tokyo.com/