「ホームジャックロックダウン」をめぐる冒険・Vシネ予算との格闘のお話
本日、拙作「ホームジャックロックダウン」がレンタル開始となりました。セルは5月7日です。
予告などはブログにはってありますのでよろしかったらご覧ください。
http://koshiy.openeyes.jp/
クラウドファンディングでご支援いただいたみなさまに感謝いたします。
おかげで理想に近い形で作品を終結できました。本当にありがとうございます。
noteでは、宣伝インフォメーションというより、コラムみたいに書いた方がいいかなと思っていますので、「ホームジャック」の1作から今回の6作(最終章)までをVシネ予算との格闘という観点から辿ってみたいと思います。
1作目がつくられたのが2016年。ほとんど部屋の中舞台だからそんなにお金かからないよね、ということから、契約上金額はいえないけど、まぁ、当時の深夜ドラマの1/7くらい、ピンク映画の半分くらいの予算軸で作品を仕上げなきゃいけないことになりました。しかし正直、数があればなんとかなります。なので2016年ごろの越坂はプロデュース作品含めて年間最多の16本つくっております。驚
しかし、それから徐々に制作本数が減ってきました。そうすると、1本あたりで確実な利益をあげなくてはいけなくなります。
本作はホームイノベーションもので、犯人が家庭内に侵入する犯罪サスペンスということですので、どうしても家庭内だけでなく、玄関とかが使えるスタジオで撮ることになります。1日ならともかく撮影で3日近く一般家庭を貸してくれるようなことは内容面含めて難しく、あわよく一般家庭のどこかを借り受けたとしても、玄関外の撮影は大家の許可が必要になり、大ごとになります。また当時はスペースマーケットとかインスタベースみたいな部屋貸しますシステムが構築されていませんでした。
なので1作目では、都心のスタジオで廊下が使えるところと使えないけど安いところの2箇所を1つのマンションの部屋として設定してやりました。
が、やっぱり時間延びれば延長料金は加算していくわけで、スタジオ代だけでもうギリギリ運営、儲かってないかも、になるのです。
そこで2作目は、ピンク映画みたいに地方に行こう、ってことになり、貸別荘で撮影します。地方といっても栃木県南部くらいです。絵が映画っぽくなるし。w
で3日間撮影となったのですが、宿泊して終電ないから撮りきれるはずが、今度は実は時間がない。往復の時間とか、貸別荘のIN OUTの時間、お風呂の時間などに制限される。撮影用、宿泊用・男女別で3棟借りているので、それなりに宿泊代もかかる。ロケハンでもお金がかかる。林間学校みたいに楽しくなる感じでもなく。w
でまたギリギリ運営、儲かってないかも、になりました。
今度こそはと、3作目は、ある劇団の練習場を部屋に見立てる離れ業にしました。映画「ディーバ」みたいな感じです。
ここのスタジオ代ははまりました。しかしですね、ストーリーがそこだけじゃもたないから結局、プラネアールさんとか併用。刑事の話なので取調室くらい出さないともたなくて。でもうまくやった方。
なんとか運営、少し戻しました。
続いて4作目、安くて玄関も使えるスタジオ発見。ここぞとばかり、そのスタジオにあわせてストーリーをつくります。w
だけど、このころから出演者が増えるジレンマが。そうなんです。「ホームジャック」シリーズは、回が進むごとに家庭内に囚われる人数が増えていっているのです。w 1ではひとりだったのが本作では4人!w
しかもその安いスタジオの近隣に工事が入ることがわかり、70%くらいをアフレコにすることになりました。そこでも費用がかさみます。
でまたギリギリ運営、儲かってないかも、になりました。
5作目、もう知り合いの印刷会社しかありません。w セオリーでは、5人被害者が必要なので。
また、そこにあわせた設定でストーリーを構築。でも、結構ミステリアスになってなかなかいい感じでした。
なんとか運営。また少し戻しました。
でも、これで終わらすには寂しい幕切れでありました。
そして6作目となったわけです。まさか作れるとは!
企画途中で、コロナの影響もあり、衛生面、体力も考えなければならなくなりました。そして、クラウドファンディングを利用することにしました。
もう、いかに安くつくるか、に飽きておりました。
シリーズをちゃんと完結させてやりたい、コロナの今の思いを映像に残したい、と思いました!
ご支援・ご協力いただいたみなさまのおかげで玄関前のあるそこそこのスタジオで3日間撮影、さらに1日回想シーンとシリーズの中ではかなり贅沢な撮影となりました。
でもですね、ギリギリまで予算使うクセはやはりあります。前ほどではないけど少しは延びるし。いいものをつくろうとするとそうなっちゃいます。
でまたそこそこギリギリ運営、いうほど儲かってないかも、になりました。w
本当に、世の低予算映画の作り手たちは、どうやってつくっているのだろう? 一生懸命やればやるほどお金が出て行く。作品づくりのジレンマは常に私を悩ませます。