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漆染めでサステナブル|国産漆の有効活用について
漆染めとは
漆染めとは、ウルシの"未活用木材"を使った草木染めです。
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「未活用木材ってなんですか?」
ウルシの木から樹液を採取した後に伐採します。伐採後の木は薪になるか放置されています。「だったら、ウルシの木を色んなものに使えばいいやん!!」
お店でウルシの木材を見た事ないと思います。なぜなら、アレルゲンのウルシオールというかぶれ成分が含まれていること、木の機械的な強さの問題があるためです。「ウルシかぶれって何?」
ウルシの樹液や葉っぱ等を触ると、ひどいアレルギー反応を起こします。たまに無反応の人もいますが。筆者はウルシの樹液を触り、両腕パンパン、真っ赤に腫れ上がり、寝る時痒くて痛くて眠れませんでした。「機械的な強さって具体的には?」
木材の強さです。ウルシ材は柔らかくて建材や家具の脚とかには使えないと考えられています。←工夫次第かも。一般流通していないのは、ウルシのアレルゲンや機械的な強度の関係で加工工場がない、需要がないなどの理由からです。
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漆染めの材料と安全性
ここまで話を聞くと、漆染めの材料としても適さないのではと感じますよね?
しかし、漆染めはこれらの問題を解決します。
ウルシの木材を正しく処理すれば、かぶれません。
以下の3つのアレルゲン対策により、安全に使用できる漆染め製品をつくっています。
染料として使用する部分は、ウルシの心材(材部)で、そもそも、ウルシオールが含まれていません。
仮に材部に含まれていたとしても、ウルシの木を1年以上乾燥させますので、ウルシオールがなくなります。
染め工程の中で100℃のお湯で煮出します。
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また、ウルシの心材をチップ状に加工するので機械的強さは関係なく、ウルシの木材を有効活用できます。
漆染めは木の良さを最大限引き出します。
これは、まさに"SDGs"です!!
漆染めの機能性
黄色の美しい染め物、それが漆染めです!!
鉄分(媒染剤)によって色の変化が楽しめます。オレンジとか緑とか。
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でも、見る人が見れば「結局、他の草木染めと何が違うのよ!!」ってツッコまれそうですね。
心がけていることとして、科学的根拠にもとづき、染め生地の機能性を評価している点です。
具体的は以下の通りです。
抗菌、防臭 → 菌が繁殖せず、臭わないよ
紫外線カット → 日焼けしないよ
洗濯堅牢度 → 洗濯で色落ちしないよ
汗堅牢度 → 汗で色移りしないよ
湿摩擦 → 濡れても色移りしないよ
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漆染め製品に関して、これらの機能性を考慮しつつ商品化をしております。
一般的に草木染めは、色落ち、色移りしやすいです!!
ただ、化学染料は色落ちしにくいが、天然染料は人と環境に優しいです。
また、これまで書いてきたように、漆染めの一番の目的は、"国産漆の生産を向上させること"、"漆の生産に携わる人々を守ること"、"日本の文化を守ること"です。
漆染めは、安全にウルシを身近に感じられるアイテムです。
読者さんと漆との距離が縮まり、身近なものとして感じていただけることを願っております。
次は、抗菌作用がもたらす良い事を書きます!
to be continued