私が麻雀プロになった理由
「なんで麻雀プロになったの?」
麻雀プロが聞かれる質問の中でも上位に入ると思います。
麻雀というゲームの性質とプロとして売れることの厳しさ、現実的な人であればあるほど、麻雀プロになるという選択肢は薄くなっていくでしょう。
当時大学生の私もその一人でした。
麻雀は楽しいし面白い。でも麻雀プロになったところで食べられないし、言ってしまえばなるだけ損だと。
そこで終わっていれば、私は今頃ただの麻雀打ちだったでしょう。
麻雀を楽しむと同時に麻雀プロに対する諦めに似た感情を持っていた私は、1つのあまりに大きな輝きを見たのです。
馬場裕一プロ。
初めて映像で見たのは2011年「小島武夫の麻雀交遊録」内、「バビィのワンポイントレッスン」のコーナーでした。
偶然見たテレビ番組で麻雀がやってたことに喜んだ渡邉浩史郎少年は、その後録画したものを何度も見返していました。
やがて私も大学生になり、本格的に友達と麻雀を打つようになります。確率で打つことを知って天狗になった若造期。
馬場プロのことは「一昔前の麻雀プロ」、もっと言葉を選ばずに言えば「確率で打つゲームだということに追いつけていない古い麻雀プロ」だと、そう思い込んでいました。
もちろんそれでも馬場プロの親しみやすい喋り口調とかは当時から大好きでした。
そしてやってきた最強戦2017。
決勝には猿川プロ、多井プロ、金プロ、そして馬場プロが残りました。
「バビィやるやん」
そんな軽口を友人と通話しながら決勝を見守ります。その時の馬場プロの対局は私の一生の記憶に残るものになりました。
このときの盛り上がり方は尋常じゃなかったです。無骨に磨き上げられたハンマーで、最新の武器を扱う強敵に挑みかかる戦士がそこにいました。
「バビィツモれ!!!」
その瞬間、私も、馬場プロのファンでも何でもなかった友人も、そして視聴者も、全てが馬場プロの虜になりました。
「プロは人を喜ばせる」
馬場プロが引用する言葉の通りです。
このとき私は初めて明確にプロになることを意識するようになりました。
「麻雀で人の心を動かしたい」
今でも続く私の中のプロの原点です。
私が出場した最強戦2021全日本プロ予選。馬場プロは控室の方にいました。終わったあとにご挨拶して観戦記や打ち方を褒めてもらったときのことは今でも鮮明に思い出せます。
馬場プロとプロとしての対局で打つことはついぞ叶いませんでした。また先のことになりそうです。
いつまでもあなたは私の中のスターです。