山に入って
<読む前に必ずご確認ください>
本記事は狩猟に関してのものになります。
一部、リアルな写真もありますので、苦手な方はお控えください。
<はじめに>
3/19(土)に以前からご相談のお声をいただいていた長野の狩猟に同行させていただき、地元の方々と一緒に山へ入ってきました。
今回はそこで感じたこと書き残したく投稿しました。
※noteの更新が滞っており、すみませんでした。。。
なお、狩猟の仕方や解体方法・流れなどは、主旨等と脱線するため、この記事では山に入って感じたことと革に関することになります。
<狩猟について>
まずはじめに、今なぜ「害獣駆除」という名目で狩猟があるのか。
今、鹿や猪などによる農作物等の被害が全国で問題となっており、年間158億円(鹿53億 / 猪46億)という金額に及びます。
※令和元年 農林水産省 のデータより
(https://www.maff.go.jp/j/press/nousin/tyozyu/201223.html)
地球環境やお肉の消費を減らして野菜中心の食事をという声もありますが、その育てている山の苗木や農作物を食べられてしまったり、土手や水路の崩されてしまうという問題が現実として起こっています。
また、害獣として駆除をされた動物たちのお肉は昨今ジビエとして活用もされますが、多くの皮は税金を用いて焼却・産廃・放置となっており、「革」にしてまで活用をしているのは、更に少なく数%と言われております。
そして動物によっては繁殖能力も高い為、何もしないと終いには…ということも…
自分自身、革をきちんとやりたいと思ったひとつの理由に、この問題を知ったというのあります。
これは世の中としてもとても大切な話なので、この問題についてまた別の機会にきちんと書きたいと思っています。
そしてこの問題は賛否などありますが、とても重要なことだと思っており、ただ一方からだけではなく、多方向から見る必要があると思っています。
全てのことに敬意と感謝を忘れることなく。
<長野の猟師さんに感動>
話を戻しますが、今回の同行で感じたことはただただ「尊敬」でした。
(語彙力がなくすみません..)
狩猟と言ってもイメージがわかないと思うので、簡単に説明も交えながら思ったことを書き残していきます。
今回の狩猟では「山の上から降りる人」「下で待ち構える人」と複数のポイントで連携を取りながら進み、それぞれ役割を全うします。
文字通り、獣道ですらない「道なき道」を降って行ったり、待機したい場所へ向かったりとそれぞれの配置に。
そして、前日の雨の影響で山の中は泥濘んで歩きにくかったはずなのですが、高齢のベテランのお爺様の軽やかさと言ったら..
(ご年齢は聞き忘れてしまいましたが、70歳は超えているかと..)
小川を渡った山で待機をして狙いたいと、ライフルを担ぎながら小川を渡り、迷わず急勾配の道なきに道を登って行かれる。
どのルートであの場所へ行くんだ??と思うような道も、なんのその。
もうシンプルにすごい!
更に驚いたのは、解体場に着いてからも驚きの連続。
「解体が驚くほど早い!」
トラックから降ろしてから数分で内臓を取り出し、瞬く間に解体まで終えてました。。
もう、本当に一瞬過ぎて。。。
と、長野県の猟師の方々の技術の高さに本当に尊敬でした。
ちなみに山に入るとこのような鹿の糞を発見したり、木の実などを食べた形跡を発見するのでここに生息していることがよくわかります。
もちろん、決められた狩場があり、ある程度どの辺りに生息しているのかなど、猟師さんの方々は把握していらっしゃるのですが、こういった痕跡などもからも色々な情報が読み取れます。
<革にする為に>
※ここの一番最後に皮からお肉を取り除いてる時の写真を掲載しまので、苦手な方は飛ばすかここまで終わりにしてください。
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皮を革にする為には、皮に残ったお肉を取り除かなくてはなりません。
皮に余計なお肉が付いている状態だと腐敗が進む一つの原因となるそうです。
私自身、恥ずかしながらこの作業をやらせてもらえるのは今回が初めてでしたが、予想通りというか予想以上に技術も体力も必要な作業でした。
「お肉を極力取り除きながらも、攻め過ぎて皮に穴を空けない」
これが本当に難しく、技術と体力が本当に必要になります。
そしてもちろん、道具の手入れや準備も重要でした。
恩師に様々な事を教えてもらいながら「どの角度で刃物を入れ」「どこまで削いがなくてはならないのか」「刃を当てすぎたり、取りすぎると穴が空いてしまうので丁寧に」などなど、気を付けなくてはならないことは多岐に渡ります。
そして作業中も時間が経つにつれ腐敗は進んでいくので、スピードもとても大切になります。
実際の作業はこんな感じです。
これは本当に重要な作業なのですが、あくまで革にする最初も最初の工程で、革にしていく為には、ここから更に多くの工程を行う必要があります。
この毛がある状態のまま、ご協力してくださっている国内のタンナーさんにお預けして、1〜2ヶ月という時間を掛けて天然素材を用いて鞣していき、ようやく革になります。
牛や豚などの流通食肉の副産物の革も効率化されているとはいえ、ほぼ同様の工程があり、たくさんの方々が携わり、自分たちの手元に届いていることがわかります。
今回の鹿も鞣しているので、革になったらご紹介出来たら嬉しいなと思っています!
- 用語説明 -
※ タンナー:簡単にいうと皮を革にしてくださる所です
※ 鞣し:今は皮を革にすることをいいます
(鞣しのことはまた別の機会にでも書けるようにします!)
- 解体作業と内臓を取り出した時の鹿 -
<最後に>
改めてですが、どの仕事でも同じですが、直接見えていない・知らないというだけで、こういったたくさんのことを誰かがしてくれているということ。
生きる為には誰か・何かに支えられ、助けられて、生かされているといこと。
お肉や野菜など食をひとついただくにもしても多くの人や生命が関わっていること。
だからこそ「いただいて生きている(生かされている)私たちは全ての生命に感謝をしなくてはならない。」
「いただきます」
「ご馳走様」
「ありがとう」
大切な言葉たちを大事にして生きていきたい。
古来よりあった本来の感謝や敬意を忘れないそんな人でありたい。
と思っています。
そして最後にこの取り組みは、革を本腰を入れてやりたいと思ったきっかけですので、これからより注力を注いでいきたいと思います!!
<プロフィール>
COM(小室 祐平)
自らの手で染料から拵えた『黒鉄染め』を中心に
詫び錆びを感じていただけるものづくりを
伝統技術を応用し、天然素材を用いて自ら調合・精製した染料と
産地のわかる内地(国内)の厳選した原皮を用いた革で拵えてます