すぎる
その家からは小学4年くらいの男の子がちょうど出てきたところで、なにやら体の割に大きめのセカンドバッグと太めの紐のようなものを小脇に抱えている。
モジャモジャしていた。ばりクールやんて思った正直。
グレーのモジャモジャしたセカンドバッグ、ウチも欲しいわコレってなる。
くるくるした毛足の長い素材でほんとうにおしゃ。どこでゲットしたん。
男の子はもじゃセカンドバッグを地面において持ってた紐をくくりつけた。
モジャセカは歩き始めた。犬のように。
まじで犬だった。
リードに繋がれた犬だった。グレーの。
犬。マジモンの犬。ガチ犬。犬にしては振る舞いが犬すぎる犬。ワンとか言ってる。犬すぎ。多分名前はコロ。犬散らかした犬。犬のなかの犬。犬派もうなる犬。
その日、犬はおしゃれセカンドバッグすぎた。小脇に抱えるに足るサイズであり、フォーマルさも兼ね備えたカジュアルな仕上げ。それでいて容量も十分に確保し、利便性も兼ね備えている。その界隈の有識者なら誰でも知っているけど、普段遣いには相応の経験と勇気が要りそうなブランドのパーマネントコレクションに並んでいる系の。アリアナ・グランデがパパラッチにあった時、顔を隠すために乱暴にカメラのレンズに押し当てたで有名な。そんな、おしゃれセカンドバッグ。
犬すぎるセカンドバッグ。
セカンドバッグすぎる犬。
犬すぎるセカンドバッグを散歩させる、小4すぎる少年。
あらゆるものが、それすぎてしまった今。
もう開き直って、あ、はいそうですよね。セカンドバッグが犬になることもあるよねうんうん。ってなっちゃった
おわり
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