あの日の赤パンツ
去年最後のバイト帰りのこと。私は服屋に入って早々、ワインレッド的なお洒落な赤パンツに心を奪われていた。十数分かけて検討し、ようやく購入を決心した私は、このパンツを身に纏い今より少し大人っぽい印象になった自分を想像して少々浮かれながらレジへ向かった。しかしレジへと向かう途中、私はあることを思い出しふと立ち止まった。
そのあることとは。サスペンダーでお馴染み、我が校の某教員がパンツ・靴下・靴を赤でまとめてきた時、「カズレーザー50%」という異名を付けて陰で呼んでいたあの頃の私を思い出したのである。
その瞬間罪悪感に襲われた私は、手に持っていた赤パンツを泥棒並みの速さで近くにあった茶色のパンツとすり替えて、逃げるようにレジへと向かった。