ポルシェ祭り、からの…
幼少の頃、テレビで初めてル・マン24時間耐久レースを見て、グループCカーを知り、デレック・ベルを知り、ポルシェの強さを知り、クルマ好きからレース好きに広がっていった。
「三つ子の魂百まで」というわけでもないが、今まで40数年生きてきたベースの部分には、どこかにこの時のル・マンがあって、趣味嗜好への影響は小さなものではないと思っている。
幼少期に見たル・マンは1986年のものだということを大人になってから知り、それ以来、1986年のル・マンに出場したマシンは特に思い入れを持って集めている。
特に最近は、プライベート・ポルシェの発売が続き、破産覚悟で入手してテンションがおかしくなっているので、まだMuuseoにアップしていないものも含めて一堂に介し、「ポルシェ祭り」を開催することにした。
1986年のル・マンには、全部で15台のポルシェ956/962Cが参戦したが、その内8台が入手できている。
決勝結果の順番で見ていく。
まずは、1号車ワークス・ポルシェ962C。
デレック・ベル、ハンス・ヨアヒム・シュトゥック、アル・ホルバートの3人が駆り、367周を走って見事優勝したマシンだ。
前年からポルシェ・ワークスは962Cをル・マンに投入しているが、勝ったのはこの年が初となった。
ポルシェのグループCカーと言えば、このロスマンズカラーを思い浮かべる人も多いだろう。
次に、ブルン・ポルシェ962Cの17号車。
オスカー・ララウリ、ヘサス・パレハ、ジョエル・グイエの3人がドライブし、360周を走って2位となった。
ヨースト、クレーマーと並ぶ当時の三大プライベーターの一つで、選手権でタイトルを獲ったこともある強豪チームだ。
個人的には、ブルンチームのマシンのカラーリングはどれも好きだ。
そして、ヨースト・ポルシェ956の8号車。
ヨーストと言えば、シャーシ#117の956Bが有名だが、そちらは夜中の長いペースカー導入が原因でエンジントラブルとなり、残ったこのマシンが355周を走って3位に食い込んだ。
ドライバーはマシンカラー通りのアメリカ人トリオ、ジョージ・フォルマー、ジョン・モートン、ケンファー・ミラーがドライブした。
三大プライベーターに次ぐ存在となるリチャード・ロイド・レーシング(RLR)がエントリーした、14号車リキモリ・ポルシェ956B。
RLRは独自シャーシを開発していたことで有名で、この956はアルミフレームではなく、カーボンシャーシを使っていたと言われている。
この頃のグループCレースでは有名な、ロブ・ダイソン、プライス・コッブ、マウロ・バルディの3名がドライブし、9位で完走を果たしている。
ドイツのオイル会社、リキモリのカラーリングが非常にカッコいい。
この10号車は三大プライベーターの一つ、クレーマー・レーシングがエントリーした一台で、日本の高橋国光選手が参戦したことで有名だが、それよりもドライバーの1人、ヨー・ガルトナー選手が夜間走行中にユーノディエールでクラッシュし、帰らぬ人となってしまった方が個人的にはインパクト大だった。
最近はツヤ消しボディが流行っているが、ツヤあり黒にシンプルなケンウッドの文字がメチャクチャカッコいい。
先日入手したばかりの一台、クレーマー・ポルシェ956の13号車。
こちらもクレーマーがエントリーしたマシンで、ピエール・イヴェール、マックス・コーエン=オリヴァー、ユベール・ストリービグの3名がドライブしたが、10号車の事故を受けて、走行を取りやめたマシンだ。
フランスのガス会社「プリマガズ」のカラーリングが特徴的で、個人的には、最近の何が書いてあるのかよく分からない複雑なカラーリングのマシンより、シンプルでカッコいいと思う。
こちらも入手したての一台、ブルン・ポルシェ956の19号車。
F1ドライバーのティエリー・ブーツェン、インディカーでも走っていたディディエ・テイズ、フェルテ兄弟の兄、アラン・フェルテの実力派3人がドライブしたが、アクシデントにより89周でリタイアしている。
コンピュータを扱うフランスの会社「ブランシェ・ロカトップ」のカラーリングが抜群にカッコ良くて、17号車と共に大好きなカラーだ。
こちらもわりと最近入手した、ブルン・ポルシェ962Cの18号車。これで、ブルンのマシンが揃った。
こちらは、チームオーナーのヴァルター・ブルン、マッシモ・シガーラ、フランク・イェリンスキーと速い3人がドライブしたが、75周でエンジントラブルにより戦列を去っている。
何の会社かは知らないが、イタリアンなTORNOカラーがとてもカッコいい。
ちなみに、リアカウル上に見えるイタリア国旗の三色ラインは、実車ではルーフ前端からリアエンドまで伸びており、とても目立つ位置なのにメーカーのエラーとなっている。
これで所有する8台全てを紹介した。
Muuseoではやらない構図で写真を撮って遊んでみた。
各マシンの細かな違いや、956と962Cの違いなどを見比べて遊んでいるうちに、ポルシェだけでは飽き足らなくなってきた。
そうだ、1986年のル・マンに出場したポルシェは、グループCカーだけではなかった。大事なマシンを忘れていたではないか。
そうして押し入れから出してきたマシンが、これ。
ポルシェ・ワークスが、市販スポーツカー「959」をベースに作り上げてエントリーした、ポルシェ961。
総合優勝を狙うC1クラスではなくIMSA-GTXクラスでのエントリーで、ペッタンコなグループCカーとは違って明らかに市販車の面影を残したフォルムながら、フルタイム4WDの特性を発揮して見事7位で完走を果たした化け物マシンだ。
何のスポンサーロゴも無いシンプルなカラーリングが、逆に凄みを増していてカッコいい。
「これぞル・マンのポルシェ!」と個人的には思っている。
ル・マン史上初のターボカーとして参戦したカレラRSRターボだって、“モビーディック”の愛称で有名な935/78だって、市販車の面影を残しつつ、周囲の度肝を抜く速さでユーノディエールをカッ飛んでいたわけで、市販ベースの化け物マシンこそ、ポルシェの真骨頂だと思う。
久々に手に取ったので懐かしくなって、バシャバシャと写真を撮る。
961で遊んでいるうちに、ポルシェ以外の1986年出場車も並べたくなってきた。
こうなったら、ポルシェ祭り改め「‘86 LeMans祭り」の開幕だ!
続く…
Koshichi Museum by Muuseo
https://muuseo.com/Koshichi-museum