花開くサボテン
花びらの一枚一枚が重なり会う中で、肉が薄く光で透けているところ。
日の光が差すと花びら一枚一枚の姿が露わになるところ。また、恥じるように閉じていくところ。
丸々と純朴な身体、それとは若干似合わない艶があって肉厚で毛の生えたどこか艶めかしい茎、花の大輪で華美だけどどこか儚げな雰囲気、尖った棘の反抗心。
しっくりと鉢に収まった親株と、乱れ生えた子株達。
全てを晒した後、昼には首を垂れて貞淑な姿。
一夜だけの。
もし自分が谷崎潤一郎だったら、もっと趣深く綴るだろう。
4月の終わり頃から初夏までの間に、1年で3度ほど咲いてくれる。
生命力に満ち溢れている姿を見て、こうならねばなと思う。
このサボテンの種名は金勢丸と言う。
幼い頃に祖母の家で、子供の拳くらい小さく丸いサボテンがちょこんと白い花を1つ咲かせているのに偶然立ち会って以来ずっとそれを探している。
この子ではなかったようだが、今また蕾を作っているこの子がまた大輪の花を咲かせるのを楽しみにしている。
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