曲小話17『回夏』
はじめまして、もしくはいつもありがとう。koshiです。
はじめましての方は、いきなり17かよ、と思うでしょう。そうだよね。
既に16曲分あるので、ご興味あればこれまでの小話もどうぞ。
はじめに
おそらくご存知の通り、
TVアニメ『サマータイムレンダ』のEDとして書き下ろした曲です。
今までで一番語ることがある曲であり、
既に一番語ってきた曲でもあります。本当にありがたい限りです。
ラジオや記事でたくさんインタビューいただきまして、
もう何を話して、何を話していないのかよく分からなくなってきたので、
とりあえず①回夏とは何か ②裏話 をさらりと書くことにしようかな。
あ、その前に。
回夏、そしてcadodeについて、骨太なインタビューを紹介しておきます。
どれも違った方向から本質を見出していただいた。素敵な記事です。
僕たちは回る夏を生きている
『サマータイムレンダ』の曲でありながら、cadodeの曲を書く。
これが私のテーマでした。
当たり前じゃん、って思うかもしれませんが、
一見してそう感じられる曲は、全てのタイアップで作れるわけじゃない、と思います。世界観や本質的なメッセージが共通していないと、2つのものを同時にテーマとして置くのは難しい。
今までもダブルミーニング的な仕掛けには挑戦してきたけれど、ここまで自然にあっさりまとまったのは初めてだな、という実感がありました。
で。
回夏、「回る夏」と書くわけですが、
これはサマータイムレンダの表層的な翻訳であり、
同時にcadodeと、私たちの人生の本質でもあります。
セカイ系の話だから私たちじゃなくて僕たちと言うべきか。
青春は夏に象徴されて、それを求めて、もしくは回顧して、
次々と繰り返していく。
色んな物語を消費していくなかでも、
人生として刹那的な情動を楽しむ時、また回顧する時、
行ったり来たりしながら、夏を繰り返しているな、と思います。
能動的にやっているというより、
僕たちはあがいて、楽しんで、
結果的に夏は回っている。
そしてその回る夏にとらわれている。
そして、一度きりの人生 - 短い夏 で、何を残していけるのか。
サマータイムレンダという物語と、人生のこと。
何かが少しでも伝われば嬉しいです。
ボツにしたラフでも出すか
真面目に熱く書きすぎたのでnoteで書くべき裏話でもやって中和しよう。
今回のアニメジャケ、実は私がラフ案を出しました。出させていただいた。
構図を依頼できるとのことだったので喜んで出した。ファン冥利に尽きる。
ここまでは配信とかでも話したので、知っている人もいるかな。
せっかくだし、
ボツにしたパターンのラフ(のさらにラフ)でも載せておきます。
載せたはいいけど恥ずかしいな。あまりにラフだもの。
サマータイムレンダの単行本の表紙ってめちゃくちゃいいじゃないですか。
西洋絵画的な構図も感じられる。たとえば4巻とか、A1サイズを壁に飾りたいよね。最高。
作中にない絵で、でもサマータイムレンダの前半を象徴するような、美しさと不安を感じるものにしたい……と思いました。そして色々あって、私のぎこちないラフが、アニメーターさんの超絶技巧によって素敵ジャケットへと成ったわけです。
実はこの間に、各関係者の審査を通り、最終的な完成版ができていくのですが、田中先生の監修もあり、たいへん興奮しました。
自分のラフから出発した絵が田中先生のチェックを受けている……??夢か……??
諸事情ありこれ以上は話せませんが、ともかく良い経験ができました。よかったね。
語ること多すぎて絞ってもこんな長さになってしまった。
真面目に始まりオタク成分が出て終わったな。
こんな話聞きたい、みたいなものあれば、ぜひコメントかリプ送ってください。追記するかも。
次は『光』を近いうち書きます。
では、よい一日を!
koshi
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