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31. MIDORIの運/ Suerte de MIDORI(1)
ミドリは運が良い。
いつもそう思っています。
理由の一つ目、「パロサントだけに絞ったこと。」
卑下することは良くないかもしれませんが、
日本や欧米を探せば、ミドリよりもはるかに素晴らしいブランドはたくさんあるわけです。
比べたらキリがないのですが、それは実際問題として認識するべきとも思っています。
常に満足せず、そういったブランドに追いつけるように努力し続けなければいけません。
ところが、パラグアイ国内を見ればどうでしょうか。
パロサントに特化したブランドはまだありませんでした。
今もそうです。
パロサントだけに絞ったと言うのも、今思えばやって良かったなと思っています。
木工クラフトであれば、数種類の木を扱うのが普通だと思いますが、
僕らの場合は、とにかく「パロサント」だけにこだわっています。
幾度となく、クライアントから別の木で作ってくれないかとか、
他の木なら安くなるんじゃないか、とかいう相談がありました。
ほぼ全てを断っています。
理由はブランドコンセプトがずれてしまうからです。
パロサントは硬くて重い木なので、とても加工がしづらいです。
手間がかかります。
パロサント商品のクオリティを認めてくれた上で、
コストダウンをしたいから他の木を使いたいと言うのは、
嬉しい気持ちもあります。
逆に言えば、僕らはパロサントのプロフェッショナルであり、
他の木に関しては、取り扱うノウハウがありません。
パロサントとは別の木で、数種類のお箸を作ったらカラフルで面白いだろうな、
とか、
あの木なら加工もしやすくて、早くたくさん作れるんだろうな、とか、
心が揺れることもありました。。
でも、今はパロサント一本!
と、心に決めています。
別の見方をすれば、他の木を扱う余裕がないと言うのも本音ですね。
今は人材も時間も足りない。
ありがたいことに。
裏話をすると、
たまーに、パロサント以外の木を扱うこともあります。
本当に稀ですが。
でも、それはお得意さんからの注文だったり、
しっかりと利益が出るものだけです。
友人のアドルフォはレストランを経営しているの有名シェフですが、
お店で使う展示用の台のために、自分の牧場から大きな丸太を切り出した、
と言うのです。
「コータのところで磨いてくれないか?いつもの自然な風合いで。」
ミドリの仕事を知った上で、そう頼んでくれるのであれば、
断るわけにはいけません。
職人さんには無理を頼みましたが、
しっかりと良い仕上がりとなり、アドルフォはちょくちょく頼んでくれています。
自然思考、丁寧な仕事を理解してくれる人には、
ミドリの商品は刺さるのだと思います。
そういった客層が、以前は少なかったですが、
徐々にパラグアイでも受け入れてもらえるようになったと思います。
本当に運がいい。