118B13
正解:c
解説
a. polyuria(多尿)
重症熱傷の急性期には、血管透過性の亢進により細胞外液が血管外に漏出するため、尿量は減少する。
多尿は、熱傷の回復期に見られることがあるが、急性期には典型的ではない。
b. hyperlipidemia(高脂血症)
重症熱傷の急性期には、エネルギー需要の増大により脂肪分解が亢進するが、高脂血症は通常みられない。
高脂血症は、長期の絶食や高カロリー輸液などによって生じることがある。
c. hypovolemic shock(循環血液量減少性ショック)
重症熱傷では、血管透過性の亢進により細胞外液が血管外に漏出し、循環血漿量が減少する。
その結果、循環血液量減少性ショックを呈することが多い。
重症熱傷の急性期に最も典型的にみられる病態である。
d. venous thrombosis(静脈血栓症)
重症熱傷では、凝固能が亢進し静脈血栓症のリスクが増加するが、急性期よりも回復期以降に生じることが多い。
急性期には、むしろ出血傾向を呈することが多い。
e. compartment syndrome(コンパートメント症候群)
熱傷により筋膜に囲まれた筋区画内の圧が上昇し、筋区画内の循環障害が生じる病態である。
重症熱傷では、熱傷部位の浮腫が強く、コンパートメント症候群を生じる可能性がある。
ただし、全身性の病態ではなく、局所の合併症である。
考察
重症熱傷の急性期には、血管透過性の亢進により細胞外液が血管外に漏出し、循環血漿量が減少する。その結果、低容量性ショックを呈することが最も典型的である。多尿、高脂血症、静脈血栓症は、重症熱傷の急性期には典型的ではない。コンパートメント症候群は、重症熱傷に合併することがあるが、全身性の病態ではなく局所の合併症である。重症熱傷の病態生理を理解し、急性期の全身管理を適切に行うことが重要である。
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