118D48
正解:e
解説
本症例は、3歳児健康診査で心雑音を指摘され、心エコー検査で心房中隔欠損症(ASD)と診断された女児である。ASDASDは、先天性心疾患の中で最も頻度が高い疾患の一つである。多くは無症状で経過し、学校健診や健康診断で心雑音を指摘されることが多い。本症例でも、保育園での生活に支障はなく、無症状で経過している。ASDASDに対する両親への説明としては、以下の点が重要である。
a. ASDASDの多くは孤発例であり、遺伝性は明らかでない。
b. 無症状で心不全徴候がなければ、日常生活や運動に制限は不要である。
c. ASDASDでは、不整脈の合併は稀である。
d. ASDASDでは、心不全徴候がなければ、塩分制限は不要である。
e. ASDASDでは、欠損孔が大きい場合や心拡大が進行する場合は、外科的閉鎖術や経皮的閉鎖術が考慮される。自然閉鎖は期待できないため、適切なタイミングでの治療介入が重要である。本症例では、右心系の拡大を認めており、閉鎖術の適応について検討する必要がある。
考察
心房中隔欠損症(ASD)は、心房中隔に先天的な欠損孔が存在する疾患である。二次口欠損型が最も多く、卵円孔型、静脈洞型、冠静脈洞型などがある。欠損孔を介して左右シャントが生じ、右心系の容量負荷から右心房・右心室の拡大をきたす。多くは無症状で経過するが、欠損孔が大きい場合は、労作時呼吸困難や易疲労感などの心不全症状を呈することがある。心雑音は、肺動脈領域の収縮期雑音と三尖弁領域の拡張期雑音を聴取することが多い。診断には、心エコー検査が有用であり、欠損孔の部位や大きさ、右心系の拡大、肺高血圧の有無などを評価できる。治療は、自然閉鎖が期待できる小さな欠損孔では経過観察とするが、中等度以上の欠損孔では外科的閉鎖術や経皮的閉鎖術が考慮される。治療介入の時期は、年齢や症状、右心系の拡大の程度などを総合的に判断する。無症状でも、肺体血流比(Qp/Qs)が1.5以上あれば、学童期までの閉鎖術が推奨される。治療介入が遅れると、不可逆的な肺高血圧症や不整脈、右心不全などの合併症リスクが高まる。ASDASDは、先天性心疾患の中で最も頻度が高い疾患であり、多くは予後良好である。しかし、適切な管理と治療介入が求められる疾患でもある。小児期に診断された場合は、定期的な経過観察と、欠損孔の大きさや心拡大の程度に応じた治療方針の検討が重要である。両親に対しては、疾患の特徴と管理方針について丁寧に説明し、理解を得ることが求められる。
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