114D48
正解:d
解説
本症例では、シスプラチンを含む薬物療法後に蛋白尿、腎機能低下、低カリウム血症、低リン血症、代謝性アシドーシスなどの所見が認められています。これらの所見からFanconi症候群が疑われます。
Fanconi症候群は近位尿細管の機能障害により、アミノ酸、ブドウ糖、リン酸、重炭酸塩などの再吸収障害をきたす疾患です。特徴的な所見は以下の通りです。
蛋白尿(低分子蛋白尿)
糖尿(腎性糖尿)
低リン血症
代謝性アシドーシス
低カリウム血症
高尿中β2-マイクログロブリン排泄
本症例ではこれらの所見が揃っており、Fanconi症候群の診断に合致します。
Fanconi症候群の原因としては、シスプラチンなどの薬剤性、ライソゾーム病(シスチン症、ウィルソン病など)、多発性骨髄腫、アミロイドーシスなどが挙げられます。本症例ではシスプラチンの使用歴があることから、薬剤性のFanconi症候群と考えられます。
他の選択肢については以下の理由から除外されます。
a. 腎性尿崩症
多尿、高ナトリウム血症、脱水などを呈する。
b. Liddle症候群
低カリウム血症、代謝性アルカローシス、高血圧などを呈する。
c. Bartter症候群
低カリウム血症、代謝性アルカローシス、高レニン高アルドステロン症などを呈する。
e. Gitelman症候群
低カリウム血症、代謝性アルカローシス、低マグネシウム血症などを呈する。
以上より、本症例で最も考えられるのはFanconi症候群(選択肢d)です。
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