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64歳の男性。夜間の盗汗、微熱および持続する咳嗽を主訴に来院した。4年前から関節リウマチで疾患修飾性抗リウマチ薬〈DMARD〉及び生物学的製剤で治療中である。1か月前から夜間の盗汗、微熱および咳嗽が出現した。症状が持続するため自宅近くの診療所を受診した。心音と呼吸音とに異常を認めない。胸部エックス線写真で右上肺野に空洞陰影を認めた。
この患者で空気感染予防策の必要性を判断する検査はどれか。
a  喀痰抗酸菌染色
b  喀痰抗酸菌培養
c  ツベルクリン反応
d  気管支肺胞洗浄〈BAL〉培養
e  結核菌特異的全血インターフェロンガンマ遊離測定法〈IGRA〉

第118回医師国家試験

正解:a

解説

a. 喀痰抗酸菌染色は、結核菌の存在を迅速に確認できる検査であり、陽性の場合は空気感染予防策の必要性が高いと判断できます。
b. 喀痰抗酸菌培養は、結核菌の確定診断に有用ですが、結果が判明するまでに時間がかかるため、空気感染予防策の必要性を即座に判断することはできません。
c. ツベルクリン反応は、結核菌に対する遅延型過敏反応を検出する検査ですが、BCG接種歴や非結核性抗酸菌感染の影響を受けるため、活動性結核の診断や空気感染予防策の必要性の判断には適していません。
d. 気管支肺胞洗浄〈BAL〉培養は、肺の局所的な感染症の診断に有用ですが、空気感染予防策の必要性を即座に判断することはできません。
e. 結核菌特異的全血インターフェロンガンマ遊離測定法〈IGRA〉は、結核菌感染の診断に有用ですが、活動性結核と潜在性結核感染症との区別はできないため、空気感染予防策の必要性の判断には適していません。

考察

結核は空気感染するため、早期に適切な感染予防策を講じることが重要です。特に免疫抑制治療中の患者は、結核の発症リスクが高いことに注意が必要です。胸部エックス線写真で空洞陰影を認める場合、喀痰抗酸菌染色で結核菌の存在を迅速に確認し、陽性であれば速やかに空気感染予防策を開始することが求められます。他の検査は診断の確定や治療効果の判定には有用ですが、即時の感染予防策の判断には適していません。

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