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smc_213
微笑みの海岸
幾千幾万にも積み重なった貝殻は粉々になり
やがて白い砂へとかわる
干潮の海岸では風が穏やかに吹き
沖合ではボードが白波を巻きあげ駆けぬけてゆく
親子連れのわらべが貝殻を踏み鳴らし
何かないかと
興味津々に辺りを見ている
私はただ堤防に腰かけ
対岸の島原を仰ぎみていた
いかに長い歳月をこえ
この海も山もうまれたのか?
大地が産声をあげたその日も
日は変わりなく星の道行を照らしていたのだろうか?
浜辺では思案げに砂へふれる母の手を
わらべがじっと見つめる
その姿に自らの像を重ね
帰路へと歩を進めるわたしの耳に
パッヘルベルのカノンが優しく留まる
いっときの間だがそれは
天使の微笑みのような慈しみを
有明の海へ投げかけていた