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ブランドマネジメント業務でお世話になった本 2024
こんにちは、SmartHRでブランドマネジメント業務に取り組んでいるsayuriko(@sayuriko)です。
この記事では、私が1年間のブランドマネジメント業務に取り組むなかで色々な観点でお世話になった本を紹介します。主に自分の振り返りとして書いていますが、近しい業務の方や、似たような状況でお困りの方の何かになればうれしいので公開してみます。
ブランドマネジメント業務の専任になって1年が経ちました
私が入社した当初は、ブランド関連施策のD/AD業務にどちらかというと軸足を持ちながらブランドマネジメント(以下、ブラマネ)業務との間にもいるような動き方をしていたので、デザインシステムのコンテンツ拡充などにも日々の業務で関わらせてもらっていました。
入社1-2年の間はブラマネ業務は体感では2-3割くらいだったところから、2023年8月からは組織図上でも兼務になり、社内の体制が色々と変化した流れで2024年1月からは専任になり、気づけば1年経っていました。
これまでの所属の変遷
2021年8月(入社):ブランドコミュニケーションユニット
2023年8月:ブランドデザイン・ブランドマネジメント 兼務開始
2024年1月:ブランドマネジメントユニット 専任開始
2024年12月:ブランドマネジメントユニット ⬅︎ イマココ
ブランドマネジメントユニットがどんなことをしているのか?は以下の記事を読んでみてください。
かなり手探りで取り組んだ1年だった
ブラマネ業務に専任になったとて、何かのスキルが急に変わるとかではもちろん無いので、私の特性は地続きのまま業務の毛色が少しずつ変わっていきました。
当初はブラマネ関連の業務に対して、特別苦手でもない感じはするものの適正がすごいあるかというとそうでもないような自認をしていたので、私に務まるだろうか...いったんやってみるか…これが正解にしていくというやつなのかもな…ちょっと違うか…などと心の中でひとりごとを延々とつぶやきながら手探りで取り組んでいました。
その上で、私は基本的に「自分が困っていることぐらいはすでに誰かが経験しているはず、それについて書かれた本もあるはず」と考えているので、一体何からどうしたら...と困惑したときは一旦何も考えず手当たり次第に本をパラパラと見るようにしています。
今回の記事では、そんな手探りで歩んだ1年を通してお世話になった本たちをご紹介します。なお、全部読んだ本もあれば部分的に読んだだけの本もありますし、かなり有名な本もたくさんあるので何を今さら感があるラインナップな予感もしますが公開してみます。ちなみに積読はさらにたくさんあります。積んでおけばいつか読めますから…
いきます
ざっくり以下の目的別に分けて紹介していきます。
※アフィリエイトなどはありません😉
❶ ブランド/ブランディングについて知りたい
❷ たくさんの情報を整理したい
❸ 人といい感じに何かしたい
❹ 内容が伝わる文章を書きたい
❺ マインドをどうにかしたい
❶ ブランド/ブランディングについて知りたい
当たり前ですが、ブランドやブランディングについても知りたい1年でした。一方、新しくブランド関連の書籍を読み始めたかというとそうでもなく、原点回帰的な書籍を見返した1年でもありました。
社内外を問わずブランドやブランディングといった言葉が使われますが、それが指している構造・状態ってどんなことを言ってるのか?を厳密に整理して理解したくなる場面が多かったので、一般的には・基本的にはどんな感じ?をまず知るために、以下の本などを頼りにしました。
困ったらいったん開いてみる入門本
『超実践! ブランドマネジメント入門』
いわゆるブランドマネジメントに関する業務について、網羅的かつわかりやすくまとまっているので、ここに書かれていることをベーシックとして捉えた上で、じゃあ弊社だとどうだろな?を、考えやすくなりました。こちらはいま育休中のメンバーに教えてもらってから、何かと折に触れて参照しています。Kindle版も紙の本も持っています。
困ったらいったん開いてみるやや専門書
『ブランド戦略論』
かなり前に購入した当時はそこまで頭に入らなかったのですが、今年はかなりお世話になりました。ブランドのデザインに関する話というよりかは、タイトルの通り戦略に寄った内容になっているので、ブランドの戦略に関わる議論に参加する機会も一定あった今年は特に、参照させていただきました。買った時点では内容を咀嚼しきれなくても、必要なタイミングでちゃんと思い出せて活きてくるのが積読のいいところだなと感じます。
上2つと同様に困ったらいったん開いてみる定番書
『ブランド論』
大変有名な本かつ過去すでに読んでいたので改めて書くのももはや恥ずかしいのですが、今年も「アーカーの本には何て書いてあったっけな?」と見返すことがあったのでピックアップしてみます。
本の中で触れられているブランドたちは本当にビックカンパニーばかりかつテック系はほとんどないので、そのままダイレクトに参考にできるかというとそうでもないものも多いのですが、いわゆるブランドについての基本的かつ一定普遍的なことが書いてあるので参考にしています。
ブランド関連の書籍はそんなに手を広げられなかったので、来年はまたいくつか読んでみたいなと思います🤲
❷ たくさんの情報を整理したい
情報がたくさんだな〜〜どうしたら〜〜〜と常々思った1年でもありました。そんな時に助けてもらった本たちです。
混乱に立ち向かうために助けてもらいました
『今日からはじめる情報設計』
こちらも同僚にたしか1年くらい前に薦められて読んだ本で、今でも参考にしています。
この本に書かれていたはず(たしか)でよく実践するのが、何かを解決したいときに手がかりに困ったら「わかっていること/わからないこと/ほしいもの」を書き出してみて、「ほしいものを得るために必要なわからないこと」を特定して、それがわかるためにはどうすればいいのか?を分解してひたすらやっていく、ということをしています。
誰も答えを持っていないという状況が仕事をしているとよくあるかと思いますが、その一連の作業を通して仮説のようなものを組み立ててみる、ということをいったんやってみます。
ちなみにそれが毎回功を奏していたかでいうとわからないですが、何らか前に進むことだけはできるので、帯に書かれている通り混乱しているときにはおすすめです。
社内勉強会のおかげで読めました
『グロービスMBAクリティカル・シンキング』
社内で開催された勉強会に参加したことで読めた本です。実施してくださった運営のみなさんには感謝しかないです。
こういったいわゆるビジネス書はなかなか読み進められなかったのですが、人と読むことで進めることができました。勉強会後は、日常的にも因果の関係性を適切に考えられているかなどはよく思い出して意識的に実践するようになりました。
また、勉強会という区切りがあることで、めちゃくちゃ眠くてもがんばれば1時間くらいなら本を読むことができるし、それを数回続ければ難しい本も読めるということがわかったのも収穫でした。読めない本は無いのかもしれない。
建築とブランドは似ているところがある気がするので読んでみた
『形態デザイン講義』
全部は読んでない本ですが、ブランドに関する情報の整理と建築は似ているところがあるな〜と感覚的に思っていて、建築の基礎っぽい本ないかな〜と探してたどり着いた本です。東大の土木工学を専攻する学生に対し、建築家の内藤廣氏がデザインについて講義した内容を収めた本とのことで、ほかにも構造デザイン講義、環境デザイン講義の2種類があります。
この本の2章「技術の翻訳」のところにある、構造/設備/意匠 の階層とか、技術・構造 ⇔ 文化 の関係性などは、いま取り組んでいるプロジェクトの情報整理にもほんのり影響を与えている気がします。
ステークホルダーが知りたいときに参考にした
『これならわかる コーポレートガバナンスの教科書』
これも全部は読んでない本ですが、ブランドのステークホルダーを知りたかったときに、コーポレートガバナンスという響きに何かピンときて手に取った本です。社内Slackか何かで見かけてすぐ買いました。
❸ 人といい感じに何かしたい
ブランドや情報整理など色々と書きましたが、何はともあれ結局人だな〜と思った1年でもありました。ブランドを作るのも人、ブランドを認識するのも人、何かをするために協業するのも人、あちらこちらに人がいます。
「人といい感じに会話しながら、全体的にいい感じにしていきたい」というざっくりした願望に対して、以下の本などを参考にしました。
問いのたて方がわかる(まだうまくできない)
『問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション 』
担当しているプロジェクトの性質上、人を集めて発散のワークショップをしたり、課題感についてヒアリングをさせてもらう機会が多かったなかで、「私は本当に良い情報を引き出せているんだろうか?」「このWSの設計でほしい情報が集まるだろうか?」と考えることが頻繁にあり、そんなときに積読されていた中から読んだ本です。必要に駆られているな〜と実感しました。
本の中に書いてあることが実践できるかというとまだかなりできないですが、例えば問いを1つだけでも本に沿って意識的に組み立ててミーティングに挑んでみる、みたいな小さな取り組みからやってみることはできたので、自分のなかでの手応えの有無がかなり変わってありがたかったです。
問いを解くためにチームに問いかけたい1年だった
『問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術 』
問いのデザインと同じように積読していたので並行して読んでみました。「見立てる/組み立てる/投げかける」という一連の流れがわかることで、私はどこで躓いているのか?どれが苦手で、どこをしたいのか?などを内省しやすくなった気がします。
色々なフレームワークとその使い方を参考にした
『システミックデザインの実践』
この本はタイトルに惹かれて買ってかなりパラパラと読んだだけなので、主題の価値を良さを本当に理解しているのかかなりあやしいのでピックアップするか迷いましたが、冒頭にある以下の文章が個人的に良かったのでピックアップしました。
これらのデザインツールを活かすために必要なのは、用意されたテンプレートに情報を埋めることではなく、ツールによってステークホルダー間の対話を触発し、各自の振る舞いやメンタルモデルへのリフレクションを促すことにある。
この前提があったので、解きたい問いに対して合いそうなフレームワークを参考にWSを設計することも大事ですが、その上で同期で対話することで相互に気づきがあることも価値があると思えました。
対話をするということについて大きな学びになりました
『対話型ファシリテーションの手ほどき』
これは社内Slackで各所でおすすめされていたので読んだ本。かなり薄いのでライトな感じで読めますが、書いてある内容は一生モノとも感じられる本でした。業務に限らず日々のコミュニケーションでも役に立つ本なので広くおすすめです。今さら私がおすすめするまでもないのであえてここで書くのも憚られる気分です。
他者といることへの問いを考える
『他者といる技法』
仕事でもプライベートでも、ほとんどの人が他者とあたりまえに共存しているかと思いますが、そのあたりまえな部分を描き出した本です。
特にリスペクタビリティの章がおもしろかったのと、ある意味ブランドも「(どちらかというとポジティブな認識をされた状態で、社会のなかに)いる」という状態をつくることにも近いなと感じていて、どこか業務にも通じる気がしたのでピックアップしました。
❹ 内容が伝わる文章を書きたい
職種柄、ガイドラインのドキュメントを作成して展開したり、同期での接点が無い方とSlack上でテキストコミュニケーションをとって何かを解決していく、という場面が本当に多いので、わかりやすい文章を書きたいという気持ちはいつでもありました。
その上で、今年は「わかりやすい」だけではなく「ちゃんと伝わる」も達成したいな〜と思う場面も増えたので、文章についての本なども少し読みました。(文章の書き方を文章で伝えるのは自分でハードル高めてる気もして迷ったのですが、最終的には強い気持ちでまぁいいやと思ったので書いてます)
文章に形があるのですね?などを知りたくて読んだ
『文章は「形」から読む』
文章を書くときには、どんなテンションで・誰に向けて書くのか、くらいの前提は誰でもある程度意識して書いているかなとは思うのですが、それの形がいくつか紹介されている本。
自分がいまから書きたいものはどの形の性質が近いのか?みたいなところから、この本に沿ったり沿わなかったりしました。
文章の形という観点だと、もっと大枠で体系化されたものもありそうに感じましたが、わりとライトに齧れて良かった本です。
結局その人の言葉になってないと届かないんだよな〜と思ったときに読んだ
『自分の「声」で書く技術』
人にちゃんと伝わるかどうかの線引きには、その人の言葉になっていると感じられるかが重要そうに感覚的に思っていて、納得感というか説得力に差が出る気がしています。
なので内容にもよりますが、「これは発案者の熱量がちゃんと伝わる必要がありそう」みたいなトピックの場合には、いっかい自分の言葉で書いた上で、最終的の体裁をシーンに合わせて調整するという流れで書くことがあります。
❺ マインドをどうにかしたい
そうはいっても働いていると、困難に直面したり、今日はもう無理ィ!みたいな日もあるかなと思います。私はあります。そんなときに心の持ちようをどうしたらいいんだろか?なんとかなりませんか?を解消するために読んだ本たちです。
思考の負のループに入らないために
『ネガティブ・ケイパビリティ』
こちらも有名な本かと思います。
以前すでに読んでいましたが今年もパラパラと何回か眺めました。なんか難しいな〜苦しいな〜と感じているときほど、わかろうとしすぎてないか?不確実さをそのまま置いておけはしないか?または、不確実なまま誰かに相談してはどうだろうか?などを意識的に思考することで、負のループからは脱しやすくなったような気もします。
置いておくこと自体がネガティブに感じる場面もあるので、守りのための放置なのか逃げのための放置なのかは若干気をつけながら、無理しないためのひとつの観点として参考にしています。
複雑性を乗り越えるためのメンタリティ
『創業メンタリティ』
こちらは社内で紹介されて、チームで勉強会を開催して読んだ本です。ネガティブ・ケイパビリティとも通じるところがありますが、企業が大きく成長していく過程で直面するさまざまな困難たちに、どんなメンタリティで立ち向かうと乗り越えることができるのか、ということが書いてあります。
個人的には、複雑性が企業の成長に当たり前に伴うものであることがわかっただけでも、これはあって然るべき状態なんだと思えたので、どこか気持ちを切り替えやすくなった気がします。
燃え尽きる前に読みたい
『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』
なんか疲れたな〜やる気がでないな、という気持ちになることが定期的にあるのですが、そんなときには「当たり前にできなくなったこと」を判断軸に、自分のメンタルの疲弊度をジャッジしています。例えば私だと、いつも見ているお笑いのYouTubeも見れなくなってきたらそれはかなり疲れていて黄色信号だと判断します。そうなりかけたときに、ほんとなんでなの?と思ってタイトルだけ見て手に取った本です。
どういったケースで燃え尽きのような状態が起きるのか?の事例を知れるだけでもどこか安心したのを覚えています。
最終的にはスピリチュアル
『ゲッターズ飯田の五星三心占い2025』
ああだこうだ言いましたが、結局は神のみぞ知るということで、今年も占いの本を定期的にチェックしました。人生なるようにしかなりません。
占い上では2023-2024年を通して乱気の年だったので、「何事もこのくらいで済んでよかったと思うようにしましょう」と言われていました。それもあって、わりとどんなことがあっても「いちおう生きてるし、業務もそこまで致命的でもないし、まぁヨシ!」と思えて過ごせました。
おまけ:業務に直接的には関係ないけど心に残った本
業務に関わらない本たちの中でも、特に印象的だった本を書いておきます。直接的には関わらなくても、人との距離感とか、言葉選びとか、そういったコミュニケーションの境界面では多少なりとも影響がある気がします。
『正欲』に続いて一気読みした
『生殖記』
前作の『正欲』もわりと衝動的に読み終えましたが、この『生殖記』はさらに一気読みしました。何を書いてもネタバレになる気がするので特に書かないですが、人をあくまで生き物の個体として捉えた視点からの語りが、今まであまり経験したことがない体験です。
実は初めて読んだ西加奈子作品
『i(アイ)』
今年は社会情勢も特に不安を感じる場面が多かったなかで、主人公の人生が現実とかなり地続きな感覚があり、どんどん引き込まれてこれも一気に読みました。西加奈子作品、なぜか機会がなく全然読んできてなかったので、これを機に読んでいきたいなと感じる一冊でした。
既存の制度を色々な比較から解釈する
『結婚の社会学』
今年は1122(いいふうふ)や団地のふたりなどのように、夫婦や友人など色々な関係性でのそれぞれの生き方や彼らの人生が描かれた作品も多かったように思いますが、その上で、国の制度として存在していて彼らの生活や思考に大なり小なり影響を与え続けている結婚という制度自体に興味が湧き、読んでみた本です。制度ができるまでの家族の在り方の変遷などは、意外と知らないことばかりで興味深かったです。
個人的にも気になるトピックではありますが、弊社サービスも国の制度と紐づいている側面が大きいので、今後のこの制度がどうなるかはどちらの面からも気になっています。
さいごに
改めて並べてみるとその領域の入門的な本がなんやかや多かった気がするので、手探りだったな〜ということを改めて実感するなどしました。そしてこのラインナップを出すのも急に恥ずかしくなってきました。でもこのままいきます。
知らないことばかりで無力さに打ちひしがれることもありますが、まだまだ何かを知れる喜びがそこかしこに転がっていると思うとそれはそれで幸せです。
今回は比較的業務に関連があるものをピックアップしましたが、今年は上記の本に限らず色々な本を読んだり買ったりしました。そのほか映画や動画、イベント、音楽、さまざまなコンテンツに支えられた1年でした。コンテンツ制作者のみなさまに多大な感謝を改めてお伝えしたいですし、制作者が制作を続けられるようにお金を払っていきたいと思います。
みなさまよき読書ライフを〜👋
この記事は、SmartHR コミュニケーションデザイン Advent Calendar 2024の12/19(木)の記事です。他のメンバーの投稿もとてもおもしろいのでぜひ読んでみてくださいね!