月に吠える
おれがアンテナを張って拾ったものより
拾えなかったもののほうが欲しいという欲望が芽生えている
規定された
つまらない固定観念のフレームでしか、また同じ電車に乗って、イカれ混み具合にイライラ辟易し、同じデスクに座って、頭が働いているのかいないのかわからない忘我のワークをこなし、腰の痛みと視力の低下で我に返り、家に帰る
わかってる
才能に当てられただけだってこと
たったいま見た才能に嫉妬してる、一過性のものだってこと
ぼくは忘れる
忘れたいことから忘れる
忘れたいことから忘れる哀れな記憶力
ありがたいことじゃないか
小説もどきの続きを書こうとして、手直しをしただけで、もうそろそろ今日を閉じる支度をしないといけない時刻になった
限りあるというのは、ありがたいことだ
ありがたいことじゃないか