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當麻寺への道・2

 ……1のアップ日がいつって?

 8月はずっと原稿を書いて血糖値を測っていました。

煮売り屋なびきの謎解き仕度
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4758445230/migiwa0c-22/ref=nosim

 お江戸ほっこり下町人情グルメコージーミステリです。

 養い親のじいさんが旅に出たのでその間、飯屋で留守番してる14歳のなびきちゃんがあれやこれや問題を抱えた客に料理を作って出すと何か解決します。

「こるもの先生そんなの書けたんですか?」

 書けなかったので今の今までえらいことになってました。
 何でそんな向いてなさそうな仕事してたんですか。
 いやいろいろと思うところあって……
 ほっこりお江戸人情は需要が強いんだよアンソロ出てる!

 逆に今、異能力バトルは書き手が余ってるが需要は……とかモニョモニョと。
 まあ俺は異能バトルの人ではない……のか?
 わからん。今となってはもう何もわからん。
「後々ストーリーで回収しなくていいから江戸雑学多めに入れて!」と言われたくらいで思ったよりいつも通りです。

 本当にこれはほっこりお江戸人情なんですか。
 すげーほっこりしてるよ猫でアライメント調整もしたよ動物を無駄に殺したりもしてないよ。
 まだ生きている魚介類を新鮮なうちに調理したりはした。

 この次は探御簾4です。トリック以外は大体できてる。
 それは何もできてないのと一緒では?
 いやできてるんですよ。
 とりあえず祐高さまはどのツラ下げてか兄上が持ってきた新巻鮭食うところからな。
(※平安時代における新巻鮭は登録番号つきの松阪牛すき焼き肉に匹敵する。東北でしか獲れないから)

 さていよいよ奈良博の展示が始まったので。
 この下書き書き始めた頃はそうだったんだよ。
 まず『趣味どきっ! アイドルと旅する仏像の世界』で室生寺を紹介していたのでそちらへ。

 ……女人高野こと室生寺、長谷寺の延長線と考えていいの?

Googleマップ・室生寺への道のり

 これは……続き……とみるにはあまりにも過酷な……
 てか本気で行くのか室生寺?

 女人高野って九度山慈尊院のことかと思ってたよ。
 ってどうやら提携キャンペーンしてるらしい。
 宇陀室生寺、河内長野金剛寺、九度山慈尊院、高野女人堂の4か所らしい。

女人高野キャンペーンの宣伝

 河内長野金剛寺、現地のこの布にプリントされてるだけでネットで調べてもフォローされてないぞ……
 何とかしてやれ……

 本日は普通に南都の中心に来てから天理方面に逸れて20kmばかり凄まじい山道を走ることになる。
 高速道路に乗せられる、とビビったら無料区間だった。
 どんだけ人が来ないのか。
 砂利トラしかいないじゃん。
 高速道路の無料区間って何km/h出していいのかビミョー。
 折角だから針インター、針テラスに寄っておけばよかった。
 何があるのか知らんが地図ではやたらと目立つので。
 奈良の実績解除ポイントじゃないのか針テラス。
 これより秘境に行くにはもう十津川村しかないぞ。

 さてここ、罠がある。
 堂々とオフィシャル駐車場のような顔をして現れる駐車場看板、長谷寺のメインストリートの一番最初。
 長谷寺本体まで歩いて5分以上かかる。
 しかも400円も取る。
 しかし駐車場の階段を降りて下の道にある「事務所」にわざわざ金を払いに行かねばならない。

 ……この事務所、人、いるの?
 ついに金の払い方はわからなかった。
 人を罠にかけておいて商売する気あるのか。何なんだ。
 相撲館といい奈良県はもうちょっとやる気になれ。

 それで一番デカい看板の駐車場から歩くこと5分ほど。
 観光客、いなくはない。
 しかし地元民の生活感にあふれていて何か、いたたまれない。
 地元の人が世間話をしているところに観光客、いづらい。
 土産物屋が生きてるのか死んでるのかわからなくて気まずい。

室生寺・川のせせらぎ
室生寺・門

 何か山の中で木陰が涼しげに見えるが涼しげに見えるだけでしっかり暑い。

室生寺・境内

 雰囲気あるけど実際は蜂がブンブン飛ぶ不吉な羽音が聞こえたりする。ミツバチとかかわいい種類ではない気配だったので見ないことにした。
 俺と同じく趣味どきに感化されたのか、バスに乗ってやってきた老夫婦2人連れが他に何組かいた。
 ぼっちは俺だけだった。

 本堂まで階段を登ったら息が切れたので桂昌院のナントカを華麗にスルー。
 この少し後、姉にせがまれて螺鈿細工体験しに嵯峨行ってついでに清涼寺千本釈迦堂に行ったらそこにも桂昌院のナントカがあって、よっぽど成り上がって金が余って宗教に突っ込んでたんだなとなる。

 ここで出会った素敵な生き物。

ナガサキアゲハ・横
ナガサキアゲハ・上から

 すごいドブ川の水飲んでるけど大きくて見応えのある蝶々。
 針インターを越えてきただけあって自然豊かだ。
 普段俺が住んでる大阪にこんなのいない。
 ググったところ、尾状突起がないのでナガサキアゲハの雄だって。
 生息域は九州以南だったが地球温暖化でどんどん北上している。
 うーん、見た目ほどいい話じゃない!

 一通り見たらまた針インター通ってブッ飛ばして、いよいよ奈良国立博物館の中将姫特別展へ。

 入ったらいきなり中将姫曼荼羅、を納めた厨子の戸が展示してある。寄進者の名前が書いてある。
「源頼朝」「北条泰時」
 ……あ、これでこの特別展してんのね。
 思った以上に當麻寺は頼朝から寄付をもらっていた。

 展示。

・平安時代中頃、當麻寺に「絹製の」曼荼羅が納められる
 ↓
・鎌倉時代、頼朝が奈良県の寺に寄進しまくった影響で當麻寺が有名になる
 ↓
・當麻寺の曼荼羅が蓮糸で織られたものという伝説ができる
 ↓
・蓮糸で曼荼羅を織った「女の身で生きながら極楽往生した奈良時代の横佩大臣の娘・中将姫」のキャラクターが誕生
 ↓
・頑張って絹糸に蓮糸を混ぜて曼荼羅を織る人が出現する
 ↓
・蓮糸曼荼羅がだんだんどうでもよくなって中将姫が長谷寺の観音さまのはからいで授かった子だとか継子いじめに遭っていたとか幼くして女官としての才覚を見せたとか帝の求婚を断ったとかチートが盛られる
 ↓
・折口信夫が過剰なチートを削いで奈良時代っぽい要素を足して『死者の書』を書く

 中将姫伝説は最終的に江戸時代に
「継母にいじめられ、妖術で既婚男性に言い寄る中将姫の歌舞伎」
 が出現するに至ったと……

 江戸時代の人、何でも同じ味にするんだな!
 いやこれは現代の俺らが言えた義理ではないな……
 何か折口信夫の気持ちわかるわ……

 この日、1日で走行距離150km越えていたが得たものは大きかった。
 長谷寺はともかく室生寺は中将姫に何も関係なかったけどな!

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